遊戯_001 ページ1
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目覚めた部屋は、相変わらず無機質だった。
鼻につく消毒液のにおいと
規則的に時間を刻む置時計だけが
いつも私の側にあった。
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「おはよう、Aちゃん」
貴「…おはよう…ございます」
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看護師さんの声が、カーテン越しに聞こえた。
肺の持病の悪化が原因で入院を始めて、
はや2ヶ月。
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…どうせこの人だって、
私のことを心配なんかしちゃいないんだ。
ならいっそ、放っておいてくれたらいいのに。
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そうやってひねくれながら過ごした此処とも、
今日でお別れなのだ。
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「あの、親御さんと連絡がつかなくて…」
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貴「良いですよ。一人で帰れますから」
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やっぱりそうか、と心の内で大きくため息をついた。
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親の期待に応え、才色兼備になった兄。
劣等感に苛まれ、いじめを受け不登校になった弟。
間に挟まれた私は
兄にはどうやっても追いつけず
しかし弟の様にはなるまいと逃げ続け、
結果、どこにでも居る普通の女子高生になった。
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ちょっとした森の中に作られたこの医院には
友達も家族も、誰も見舞いになんて来ない。
…その程度なんだ、私は。
居たら居たで良いけれど
居なくたって構わない。
…そういう存在なんだ。
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朝食と着替えを終えると、
お気に入りのヘッドフォンを着けて
医院を後にした。
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別に、私が家に帰ったところで
誰も困らないし誰も喜ばないのに。
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この頃の私はきっと、
生きる意味を探していた。
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神楽(プロフ) - 久しぶりに更新されていて、すごく嬉しかったです。これから頑張ってください。 (2018年2月26日 16時) (
レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
夕凪(プロフ) - 神楽さん» コメントありがとうございます。ご期待に少しでも添えられる様、これからも頑張らせて頂きますっ！ (2017年7月30日 0時) (レス) id: 7adddb01cf (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - 前回の作品もすごく面白くて好きな作品だったので、今回の作品もたのしみです！更新頑張ってください。 (2017年7月29日 21時) (レス) id: 18494a4f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夕凪 | 作成日時：2017年7月29日 3時
