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最終日
珍しく雪が降っていない今日は青空が見え、太陽が雪を少しずつ溶かしていた。
機体が動いてしまうと、僕は自然とこの世界から消える。
タイムリミットがいつなのかわからないまま、僕は朝から少女を待っていた。
日が徐々に真上に上がってくると、杖をもったお爺さんが「お前さん」と話しかけてきた。
「それは恋人から貰ったのかい？」
マフラーを見て聞いたお爺さんの質問に、頭を横に振る。
「なら好きな人かい？」
その質問にもまた頭を横に振った。
「じゃあ誰から貰ったんだい？」
JN「…サンドイッチ」
少女の名前を知らない僕は、いつも一緒に食べたサンドイッチを答えた。
すると、突然笑い出した目の前のお爺さん。
「お前さんは、まるで昔のワシみたいだな。」
JN「…？」
「ワシも毎日ポストの前に立ってたよ。好きな人からの手紙を貰うためにな。」
懐かしいと話すお爺さんの顔は、サンドイッチを食べながら美味しいかと尋ねる少女のように、嬉しそうだった。
「あの時は1日が長く感じて、起きて窓を覗くのが当たり前だった。配達する自転車の音が聞こえては、急いで窓を覗いたりしてな〜」
その言葉は、まるで1週間の自分のことを言われているようだった。
「まぁ、それが恋だと気づいたのは遅かったがな…」
そう言ったお爺さんは、そのままゆっくりと去って行く。
JN「恋…」
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作者名：みおお | 作成日時：2023年2月24日 15時
