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「あの…こ、こんにちは……」
そこには紙袋を持った男が一人。この前、俺に掴みかかってきた男で、智洋のストーカーをしていた女のストーカー。
「来んの遅」
「あ…す、すんません…探すのに時間がかかってもて……」
「ほんの数日で、探すのに時間がかかるようなとこに置くか？普通」
俺が促すと、下を向いたまま男は紙袋を差し出した。中には、智洋が大事にしていたネックレス。
もう帰っていいと言おうとしたら、後ろから足音が聞こえてきて、智洋が扉から顔を覗かせた。
「あれ……なんでいんのぉ？」
智洋が蕩けた顔で男に聞いた。ダメだ、この表情は俺しか知らない特権なのに。智洋を追い詰めて苦しめて、散々罵声を浴びせて嫌がらせをしたこの男に、智洋の弱みを見せる必要なんてどこにもない。
「早く帰れよ」
智洋に聞こえないように言うと、男は慌てて、そそくさと家を出て行った。紙袋からネックレスを取り出すと、智洋が「あーー！」と歓喜の声をあげた。慌てる様子が可愛らしくて、とりあえず二人で部屋に戻る。
「え、だ、だいき…なんで、知ってたん」
「何となくやで」
「取り返してくれたん？」
「ん、あいつが勝手に渡してきただけやで」
ストーカー女を連れ去って適当な場所に閉じ込めて、あの男に送ってやれば簡単だった。息を荒らげた男が女の肩を抱き、「こいつに次何かしたらタダじゃおかねーぞ」とかなんとか。醜女が二股してることを教えたらその威勢も消えたが。
「だいき、ネックレス付けて？」
上目遣いでお願いしてくる智洋に「勿論」と返せば、目の前の可愛い人はたちまち笑顔になった。俺が回り込むと、智洋の体がピクっと動いたようで可愛いなと思う。ネックレスを付けて離れようとすると、遠慮がちに袖を引っ張られた。
「だいき」
「なーに？」
「好き」
突然の告白。予想外だったけれど、いずれ来るであろう未来だった。
「俺、多分…だいきがいないと生きていけん」
「うん」
「ずっと俺のそばにいてくれる？」
懇願する智洋の表情。これは俺だけが知ってる、愛し人の可愛らしい顔。たまらなくなって、俺は智洋にキスを落とした。
「最初からそのつもり」
智洋を優しく抱きしめると、遠慮がちに背中に手が添えられた。外は雨が降っていたけれど、雨音なんて全く聞こえなかった。
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みさき(プロフ) - 初めまして。おすすめに出てきたので一気に読ませてもらいました！赤緑推しにはたまらない短編集ですね！とくに高嶺の緑くん。出会いから追っていきたい2人だなとすごく思いました！推しカップルです笑素敵な作品ありがとうございます！ (2023年2月10日 15時) (
レス) @page35 id: 06114767fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサレ | 作成日時：2021年9月25日 18時
