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「智洋、あの女と付き合ってるん」
「んー、まあそんな感じ」
智洋の笑顔は貼り付けたような、強がったものなのは一目で分かる。
智洋が付き合い始めた女は、智洋のことを三ヶ月以上も追いかけ回して、気持ち悪いラブレターを何回も送ってきては家まで押しかけてきたこともあった。俺が応対したからよかったものの、あんな見ていられないほどの醜女にストーカーされていると思うと吐き気がした。
お前が智洋とどうにかなろうなんてあまりにも烏滸がましい。自惚れが過ぎて笑えてくる。
「どこがいいん？」
「んー、どこやろ」
付き合わなずっと続くかなと思ったから、よう分からん。そう言って笑う智洋が、気にせんでええからと俺を見た。
強がる智洋、可哀想な智洋、俺が守ってあげなきゃ。智洋の隣にいるのは今までもこの先の未来も俺しかいない。
俺以上に智洋のこと分かってる人なんてこの世に存在しないし、智洋に寄ってくる人達は皆胡散臭くて信用できない上辺だけの人たち。
「やっぱ別れた」
智洋の報告に、俺は舞い上がった。自分に酔っている醜女がネットにあげていた動画を流すと脅したら簡単に智洋から離れていったから、所詮その程度の想いだったんだなとむしろ呆れるほど。
今日俺に掴みかかってきた男は、あの醜女によく付き纏っていた男。幼馴染とか同級生とか、そんなところだろう。何故あんなストーカー女に執着するのか甚だ疑問だ。多分俺が動画のことを脅迫した時も、男はどこかで見ていたんだろう。
嫉妬は人を狂わせる。手首が思ったよりも痛いから、骨にヒビでも入っているのだろうか。こんなの、智洋のためなら何ともない。
「智洋寒くない？」
「ん、ちょっと寒いかも」
「バス待と」
「そうする」
バス停の前、二人並んで雑踏を眺める。智洋がくしゃみをするから上着を羽織らせると、少し鼻を赤くした智洋が「ありがと」と微笑んだ。
今すぐ抱きしめて、唇を奪って、俺だけのものにしてしまいたいけれど、急ぐことじゃない。何があっても最後には智洋は俺の元に戻ってきてくれる。
俺は将来智洋の側にいて、彼を養って、癒してあげられる存在になる。それ以外の未来なんてない。
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みさき(プロフ) - 初めまして。おすすめに出てきたので一気に読ませてもらいました！赤緑推しにはたまらない短編集ですね！とくに高嶺の緑くん。出会いから追っていきたい2人だなとすごく思いました！推しカップルです笑素敵な作品ありがとうございます！ (2023年2月10日 15時) (
レス) @page35 id: 06114767fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサレ | 作成日時：2021年9月25日 18時
