甘味も酸味も噛みしめて【JW赤×緑】

共依存ツインズ ページ1

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双子設定

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( 緑 )





アスファルトに勢いよく雨が打ち付けられ、通り過ぎる車が水しぶきをあげる。

小さな折りたたみ傘のなか、俺の隣には既に雨で全身濡れている智洋。俯き自責している表情の彼になんと声を掛けたらいいのか分からなかった。

智洋は俺の双子の弟で、俺より真面目で器用で優しくて、可愛らしくて笑顔が愛らしい。そんな彼は小さい頃からダンススクールに通っていて、今日はその大会があった。

スクール単位での出場で失敗できない中、智洋の任された大役がアクロバットだった。助走をつけて振りかぶった体勢は完璧だった、はずなのだが。

「…………ごめん」

なぜ智洋が謝るのか分からない。

アクロバットに失敗した智洋はすぐ立ち上がり持ち場に戻ったが会場の雰囲気は地獄だった。ダンススクールの仲間は励ましてくれたけれど、智洋に着いて行った俺からすればその目線は冷ややかなもので。俺が智洋を庇うと、同期の男が俺の胸ぐらを掴んできて軽い喧嘩になってしまった。

その光景に耐えられなかった智洋は会場を飛び出してしまって俺が急いで追いかけて、今こうして並んで歩いているわけだ。

「絶対、俺が失敗しなきゃ県大会行けてた」

顔の水分を拭う智洋の顔はぐちゃぐちゃで、それは雨なのか涙なのかよく分からなかった。

「そーゆこともあるって」

実際智洋のせいじゃないと思うし、仮に智洋の失敗で県大会に出場できなかったとしても、智洋だけを責めるのって違う。仲間なのに一人のせいにするっていかがなものかと思う。

「だいき、ごめんな」
「だからなんで謝んの」
「手首、痛いんやろ」

左手で傘を持っているのが智洋にバレていたみたいだ。あちらから殴りかかってきたから、それを止めようとしたところ反対の手で手首を強く握られ、変な方向に曲げられただけだ。

「んーん、ぜーんぜん」

俺が笑っても智洋の顔が晴れないから、やはり殴りかかってきたあいつはどうにかしなければいけないみたいだ。あいつの顔、どこかで見覚えがある。



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