【暗殺教室】のろまな亀はゴールしたのか【浅野学秀】 (ページ3)

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２話＊旧友ページ3

「そういえば、E組の先生ってどんな人？評判良いって聞いたけど」

かつての友人から耳にした噂の女性教師のことを彼に尋ねたところ、歯切れの悪い返事が来た。

「雪村先生のこと？確かにあの人は凄く良い先生だったけど、4月からは新しい人がくるみたい。僕たちもまだ会ってないから分かんないかな……」

せめて担任だけでも優しい人が良いよね、とぼやく潮田くんは既にここでの生活を諦めているのだろう。

2年間椚ヶ丘中学校で過ごしてきて、誰もが【エンドのE組】の過酷さを耳にしている。

学校側から差別を認められている存在で、本校舎の生徒は私たちを貶めることで自身のポテンシャルを保っているのだ。

余程の起爆剤がない限り、この環境を変えることは難しい。

そして、生徒会や理事長を超える勢力がいない以上、それは不可能に等しかった。

「……それじゃ、教室に行こう。狭いしすぐに終わると思うけど、後で旧校舎を案内するからさ」

「うん。ありがとう、潮田くん」

彼の背中を追って教室に入ると、既に何人かの生徒たちが席に座っている。

その中にはスポーツや容姿などその他の分野で校内でも名を知られている「有名人」も存在した。

私が入ってきたことに気づき、一斉に視線が向けられる。

何か挨拶でもしておくべきか、と迷っていたところ一際目立つ華憐な少女が私に話しかけてきた。

「あっ、大石さんでしたっけ？私……」

「神崎さんですよね。図書室に良く来ていたので……あっ、敬語じゃなくって大丈夫ですよ」

多分、彼女が図書室に来ていなかったとしても名前は知っていたはずだ。

おしとやかで真面目で何より美人。

大和撫子とは神崎さんのような女性を表すに違いない。

性格故に目立って表に出てくることはなかったが、彼女の噂はクラスの違った私の元にも充分伝わっていた。

「ありがとう。大石さん、図書委員やっていたでしょ？それで、何度か見かけていて……本当は話しかけたかったけど……」

喜ばしいことに彼女にも私の存在が認識されていたようだ。

「これから1年間は一緒だし、遠慮せずに話しかけて。私も神崎さんと仲良くしたいから」

部活にも所属していなかったからただでさえ知り合いが少ないのだが、友人作りの第一歩として幸先のいいスタートを切ることが出来た。