最後の１ヶ月。青春にかけてみようじゃないか【烏野高校】

21.★ ページ23

名前呼びでこんなに嬉しいことなんてあるかな。
きっと、この人じゃないと味わえない幸福感。







『もちろんです！』







えへへとはにかむ。
自然と頬が緩んでしまう。
菅原さんもくしゃりと笑って私の頭を撫でてくれた。






せっかく綺麗にした髪の毛がボサボサになるけど、そんなことどうでも良くて。
菅原さんに触れられたところが熱い。








｢あ、じゃあさ…Aも俺のこと名前で呼んでくれない？」




『え』







菅原さんが頬をほんのり赤くさせて言う。
恥ずかしいのか目線を逸らしている。
そういう反応するってことは、期待してもいいんですか？








「あー…嫌だったらいい…」



『いやいや！そういう意味じゃなくてですね…！

…その、先輩ですし…』







恥ずかしいですし。







とは言わずに私も目線を逸らした。
寧ろ菅原さんの名前は呼びたい。
けれど、そんなカップルみたいなことをするのは小っ恥ずかしい…。








「んー。俺は気にしないけど…」


『私も呼びたいのは山々です！』









ほら、他のバレー部員達も名前で呼んでないじゃないですか！と菅原さんに言う。
菅原さんは少し考える仕草を見せて、何か思いついたかのようにぽんっと手を叩いた。







「じゃあ、孝支先輩って…」







自分で言って自分で恥ずかしくなったのか、徐々に顔が赤くなっていく菅原さん。
私はそんな彼を見てクスクスと笑った。






「わ、笑うなよー…」



『ごめんなさい(笑) じゃあ、孝支先輩って呼ばせてもらいます(笑)』







これでも恥ずかしいけど。







彼が満足そうだから、いっかな。

22.☆→←20.☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す