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「オイ、襲撃女。」
「ヒイィッ...!なぜまた此処へ.....!!!!」
部員もほとんど帰った頃、ドッカドッカと聞きなれない足音がしたと思ったら、弓道場の扉をガン、と開いたツンツン頭が居た。
嘘でしょ.....昨日の今日だよ.....?あのやり取りの後もう一回訪ねてくる人いる....?
信じられない事に現実に訪ねてきた目の前のその人物は、私の斜め後方、板張りのスペースへドカリと腰を下ろした。
「ア?何見とんださっさと撃てや。」
「....え?この状況で...?私になにか用があったんじゃ
「るせぇ。はよしろ。」
すごい......、理不尽........!と脳内で叫びつつ、練習に穴を空けたくもなかったので気にしないよう努めた。
28メートル。
芝生の茂るその先。土の壁に鎮座する黒と白の的を前にした。
スゥ、と弓を垂直に持ち上げ、滑らかな動作でそのまま自分の左上方へと滑らせる。
ギリ、
と小さく右手の
姿勢は縦に、弓を引く腕は横に。
限界まで体を伸ばしきる。
そうしてフッ、と引き絞っていた右腕の肘をわずかに下へ落とした。
同時にパシュ、と小さく音が鳴り、カーボン製の矢が空気を駆けた。
スパァン。
....張り替えたばかりの的はやはり気分がいい。
スゥ、と弓を下ろし、次の矢を
「ア?個性使わねーのか。」
急に口を開いたツンツン頭に訝しい視線を投げる。彼は一体何をしに来たと言うのか...。
「......使わないよ。弓道は伝統競技だから、文化保存の側面から個性の使用は禁止なの。」
「ほー、個性使わねーでも当たんだな。」
「......舐めないで欲しいわね。そりゃ
「そーかよ。んじゃまぁ決まりだな。」
「....?何が?」
全く話が読めず、射場に立ち構えたまま、首を傾げる私にツンツン頭が言った。
「テメェ俺のサイドキックになれや。」
「.....はぁ....!!!!??」
同じ日本語を話しているはずなのに、こうも疎通の測れない会話があるだろうか。
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泉(プロフ) - 白猫さん» なんかすごい策士のようになっていますが笑。私は展開を書いているとキャラが勝手に動く感覚で書いてるので、私も一緒に感情移入しています笑。ありがとうございます!かっちゃんはとても怒られる事ですけどね笑。最後の最後まで、どうぞ見守ってやって下さい* (2019年3月31日 16時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 話の流れと言うのでしょうか、、感情の波(?)が綺麗で読みながら緊張したり、安心したり、感情移入させにくるのが泉さんだなぁと、再確認しました笑。ツルちゃん…!!頑張った…!かっちゃんに盛大な拍手を送りたい(o^^o)最後の最後まで、楽しんで読ませて頂きます。 (2019年3月29日 18時) (レス) id: 44840d8a16 (このIDを非表示/違反報告)
モコ‐シファール(プロフ) - 泉さん» 確かに笑。物語続き読みました!!頭爆発とかともちゃんとのデートとか嬉しそうな笑顔とか合宿での電話とか色々素晴らしすぎて…尊い…大好き!かっちゃん攫われて泣きじゃくるツルちゃんみて私も胸がぎゅって苦しくなって泣きました…泉さんの表現の仕方大好きです! (2019年3月3日 16時) (レス) id: 562a9bf06b (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - モコ‐シファールさん» それはもはや合作と化してしまいそうなのでご勘弁を笑。どうしても話が膨らむと書けちゃうんですよねー笑。もうそろそろ物語を動かそうと思っています。そっちに注力しちゃいそうですね。自分でもどうなるか分からないのでドキドキです。。 (2019年2月20日 12時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
モコ‐シファール(プロフ) - 泉さん» うひゃー!泉さん最高!大好きー!!じゃあこんなの見たいってあったら泉さんに言いますね!← めっちゃ楽しみにしてます(*´∀`*) (2019年2月19日 23時) (レス) id: 562a9bf06b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉 | 作成日時:2019年1月11日 12時