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「暑..........。」
おもむろに頰を伝ってくる汗をぐいと拭った。
射場は半屋外のため、夏は少し日陰のある屋外だ。
気がつけば夏が頭上に君臨していた。
スマホの画面には『こっちはこれから林間合宿だ。あんま連絡取れねぇ。』とメッセージ表示があった。夏休みだと言うのに、本当にヒーロー科というのはすごいところだ。
『頑張ってね。じゃぁ終わったら、今度は私が爆豪くんの気分転換付き合うよ!』
送信すると、『全部蹴散らして終わらせてくらぁ。』と表示するのに、思わず口元が緩む。合宿で何を蹴散らすんだろう、ふふ。
スマホを仕舞い、水分を喉に流し込む。よしっ、と弓を執ると的を前に構えた。
近頃はかろうじて
「きゃ......!」
「何、どしたツルちゃん!?どっか痛めた!?」
「胸当てするの忘れて引いた.........。」
「あぁー......引くと
「痛くはないけど.......、とてもびっくりする.....うう...暑さで思考力死んでるなぁ....。」
「いいじゃん...私なんかそんなビックリする衝撃も来ないよ....。はい、胸当て。」
ありがと、と笑って受け取った。抜けるような濃い青空は、まだまだ練習時間の終わりを告げはしなかった。
「これ引いて帰ろうかな...。」
激しい陽光も落ち着いてきた頃。連続して引き続けると、腕の筋肉が追いつかなくなり、勝手に
腕の酷使は禁物だった。
ギリ....、
最後の一本、丁寧に引き絞った時だった。
バツ......ッ!!!
ガラン、ガラ...........!
「...............ッ、」
「ツルちゃん大丈夫!?っあぁ、弦が切れちゃったんだね、弓まではじけ飛ぶなんてすごい切れ方したねぇ...。
え、でも、ツルちゃんこないだ弦新調したばかりじゃなかった?」
こんなすぐ切れるなんて......、今日はいろいろある日だねぇ。
そう言って友人が苦笑してくれるのを聞きながら、どうしてか私は声が出なかった。
別に、弦が切れるなんて初めてのことじゃない。
なのに、どうしてか真っ二つに千切れた弦と、足元の芝生に転がった弓から、目が離せなかった。
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泉(プロフ) - 白猫さん» なんかすごい策士のようになっていますが笑。私は展開を書いているとキャラが勝手に動く感覚で書いてるので、私も一緒に感情移入しています笑。ありがとうございます!かっちゃんはとても怒られる事ですけどね笑。最後の最後まで、どうぞ見守ってやって下さい* (2019年3月31日 16時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 話の流れと言うのでしょうか、、感情の波(?)が綺麗で読みながら緊張したり、安心したり、感情移入させにくるのが泉さんだなぁと、再確認しました笑。ツルちゃん…!!頑張った…!かっちゃんに盛大な拍手を送りたい(o^^o)最後の最後まで、楽しんで読ませて頂きます。 (2019年3月29日 18時) (レス) id: 44840d8a16 (このIDを非表示/違反報告)
モコ‐シファール(プロフ) - 泉さん» 確かに笑。物語続き読みました!!頭爆発とかともちゃんとのデートとか嬉しそうな笑顔とか合宿での電話とか色々素晴らしすぎて…尊い…大好き!かっちゃん攫われて泣きじゃくるツルちゃんみて私も胸がぎゅって苦しくなって泣きました…泉さんの表現の仕方大好きです! (2019年3月3日 16時) (レス) id: 562a9bf06b (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - モコ‐シファールさん» それはもはや合作と化してしまいそうなのでご勘弁を笑。どうしても話が膨らむと書けちゃうんですよねー笑。もうそろそろ物語を動かそうと思っています。そっちに注力しちゃいそうですね。自分でもどうなるか分からないのでドキドキです。。 (2019年2月20日 12時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
モコ‐シファール(プロフ) - 泉さん» うひゃー!泉さん最高!大好きー!!じゃあこんなの見たいってあったら泉さんに言いますね!← めっちゃ楽しみにしてます(*´∀`*) (2019年2月19日 23時) (レス) id: 562a9bf06b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉 | 作成日時:2019年1月11日 12時