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「......あった...っ、けど....」
仮免合格者の名前が掲示される中に『狭間』の文字を見つけた。
でも、その前にあるはずの名前がない。
「無ぇ...ッ」
焦ったような、勝己の顔を見つめた。
いつも誰より先に行く、そんな勝己の、不合格...。
ショックを受けるその表情に胸が痛んだ。
それでも告げられた再度のチャンスに、力強く光を宿す赤い目があった。
「勝己...、」
君の強さに、涙が出そうになる。
「轟ィ!!!!!ごめん!!!!!!!!轟の不合格は俺の心の狭さのせいだ」
ズンズンと歩いてきたイナサ君がすごい勢いで頭を下げた。
地面に...刺さってる...。
「いや、それで気付けたこともある。頭上げろ。」
「それから、A!!!ごめん!!怒ってくれてありがとう!!!
...Aは、自分の個性を、ずっと誰かを守るために使ってた。
守りたい誰かのための力なんだって、伝わってきた。
スゲー熱かった。ヒーローそのものだった!カッコ良かった!!!」
ビュウ、と風が、抜けたような感覚があった。
私の力が、誰かのための力....?
心の底の恐怖心が太陽に照らされて溶けていくようだった。
「イナサくん...ありがとう。」
頰に一筋涙が溢れるのを見てイナサくんがギョッとした。
「夜嵐、A泣かせんな。」
「轟!俺やっぱ正直まだお前のこと好かん!!!」
「...っふふ。
イナサくんはさ、自分を変えようと一生懸命行動してる。膨大なエネルギーが要ることなのに、それを厭わない。私、君のそういうところがとても素敵で、好きだなぁと思う。」
遠くを見つめるような瞳でAがそう言った。
あっ恋愛的意味じゃなくてねっ、と慌てて付け足したが時すでに遅かった。
「うおおおおお!!A!!今度会ったら正式にプロポーズするな!!!!!じゃーな!!!!」
「だから、違...」
すごい勢いのままそう言って嵐のように去って行った彼だった。
守りたい、誰かのための、力。
彼の残した言葉が脳内に反響していた。
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眠 - かっちゃんは相変わらずかっこいいしハイキューネタ!?神すぎ。何で今まで出会わなかったのだろう (2021年9月29日 22時) (レス) @page48 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ああ………林間合宿まだ原作見てないからここで終了です…!くっ!なんということだ…!!受験終わって原作見たらまた来ますね!レスうれしかったです!ではではアディオス! (2018年9月24日 1時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - あ…、黒姫だった…そして絶界だった…!そしてハイキューネタぁあ!!なんですか好みドストライクですよなんなんですか!てか私、結界師はアニメまでしか知らないからむっちゃ勉強になっとりますわ! (2018年9月24日 1時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - きりあさん» ッアー!ッアァーーー!!嬉しすぎる...!(ゴロンゴロン)文章を書くの自体が初めてだったので、結界師知らない方にもちゃんと伝わっててしかも楽しんでもらえてるっていうのが本当に嬉しかったです...!アー!作者冥利につきるー...!ありがとうございます! (2018年9月19日 9時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
きりあ(プロフ) - 泉さん» 結界師にもそのようなこと(角度についての話)があるのですね…。俺は結界師については全然知らないのですが、それでも楽しめる内容になってるのですごいと思います (2018年9月17日 23時) (レス) id: 70f4828b85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泉 | 作成日時:2018年3月30日 0時