17 ページ17
.
早朝5:30、眠気でまだ頭がぼうっとする中、体操服に身を包み森の中に集合していた。
なんだか落ち着かない...。
魔獣の森に足を踏み入れた時も感じたが、薄い違和感がある。
この合宿所に着いてからはそれが強くなったように思う。
この森は特に、だ。
静かに、それでいてじとりと、何かに見張られているような、そんな感覚。
こんな感覚は、前にも感じたことがあった。
大叔父のところへ修行に行ってすぐ、小さな違和感があった。
「ほぉ、お前は、“見えない”のにわかるのか。」
驚いた様子のあと、じゃぁ行っとくか、と大叔父が腰を上げた。
大叔父の所有するこの小高い山のほとんど頂上を目指し2人歩いた。
「お前は力が強いからな、ヌシの目に留まっている。要するに見張られてんだな。まぁ挨拶に行っとくに越したこたぁねぇわな。
俺らが扱う空間の力は、土地と密接に関係している。強い力を持つ土地を
そういう土地はヌシだったり、あるいは土地神がその地を管理している。」
そうして小さな小さな社の構えられた、もうほとんど人の手が入っていないような池に辿り着いた。
人などくぐれはしないサイズの、同じく小さな小さな鳥居が目に付いた。
「ここからはヒトの領域でない。ヌシの領域だ。失礼のないようにな。」
鳥居の側を通るとグ...と桁違いの圧が襲った。
こんな、空間のプレッシャーを感じるのは初めてだった。
あぶら汗が滲む。
完璧で、隙のない、空間。
自分がこの空間で異物として存在していることがよくわかる。
言い知れぬプレッシャーに気分が悪くなりそうだった。
遠く眺めるその先の池の隅に、ひたすらに静かな存在があった。
苔生すような立派な亀がそこに鎮座していた。
あれが...ヌシ...。
固唾をのんだ。
大叔父が片膝をついた。
私も倣い数歩後ろに膝をつく。
「ヌシよ、挨拶に参った。
この者は我が姪孫であり結界師、狭間Aと申す。
鍛錬のためこの地へ参った。この地を貶める者ではない。
眺めるは自由、しかしこの者への警戒を解いていただきたい。」
相手の目など見える距離ではないのに、すぅ、と視線がこちらを捉えるのがありありとわかった。
「........................ありがとうございます。
精進致します。」
A、お前.....ヌシと対話ができるのか.......
驚く大叔父の顔が印象的だった。
----------------
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眠 - かっちゃんは相変わらずかっこいいしハイキューネタ！？神すぎ。何で今まで出会わなかったのだろう (2021年9月29日 22時) (
レス) @page48 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ああ………林間合宿まだ原作見てないからここで終了です…！くっ！なんということだ…！！受験終わって原作見たらまた来ますね！レスうれしかったです！ではではアディオス！ (2018年9月24日 1時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - あ…、黒姫だった…そして絶界だった…！そしてハイキューネタぁあ！！なんですか好みドストライクですよなんなんですか！てか私、結界師はアニメまでしか知らないからむっちゃ勉強になっとりますわ！ (2018年9月24日 1時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - きりあさん» ッアー！ッアァーーー！！嬉しすぎる...！(ゴロンゴロン)文章を書くの自体が初めてだったので、結界師知らない方にもちゃんと伝わっててしかも楽しんでもらえてるっていうのが本当に嬉しかったです...！アー！作者冥利につきるー...！ありがとうございます！ (2018年9月19日 9時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
きりあ(プロフ) - 泉さん» 結界師にもそのようなこと(角度についての話)があるのですね…。俺は結界師については全然知らないのですが、それでも楽しめる内容になってるのですごいと思います (2018年9月17日 23時) (レス) id: 70f4828b85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉 | 作成日時：2018年3月30日 0時
