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コツコツと何か硬い物が当たったような音を扉が立てる。
もう一度コツコツと鳴ったので、ジロウは椅子から腰を上げた。
流石は用心棒稼業と言うべきか、辺りの気配に気を配りつつそっと戸の隙間を開けた。ブルウゥ、とドラゴンが鼻を鳴らしたので、戸を開いた。
「なぁんだナーガか、どうしたの.....
ってうわ、バクゴー何してんの....。あんたそんな王子キャラだっけ？」
「るっせ、好きでやってんじゃねぇわ。
姫様外で寝かすわけにいかねぇだろ。」
扉の側のジロウを押し退ける形で、カツキはAを横抱きにしたままズンズンと部屋の奥へ向かった。
どうやら両手が塞がっていたのでナーガの爪でノックしたらしい。奪還作戦前の拠点である宿屋へ身を寄せた時はバクゴーが足で扉を蹴飛ばして開けたので、借り物なんだからやめてよねと注意したのだが。
今回はAが居たからか、起こさないようにとの配慮のようだった。
「........ナーガ、あんたの兄貴分？弟分？も世話がやけるね。」
「バァゥ。」
ありがと、そう一言かけてジロウは扉を閉めた。
あれ、Aひ.....じゃないAちゃんさっきは起きとったのに、どうしたん？
部屋の奥からウララカの声がして、そちらに歩みを進めた。
「泣き疲れて寝た。よっぽど疲労困憊だったんだろ。」
「殿下を泣かせたのかバクゴーくん！？」
「るっせぇわ黙っとれ起きんだろうが。」
「うぐっ、これは失敬した....！」
ベッドにAを横たえて、カツキはちらとウララカに視線をやった。それに気付いたウララカはベッドに駆け寄った。
「おら、出んぞメガネアーマー。」
「なにっ、殿下のために出来ることが
「ねぇよ、むしろ邪魔だわ。」
そう言いながらイイダはバクゴーに引き摺られて部屋を出たので、ウララカはAの外套を脱がせて寝かせてやった。
一連の様子を見届けてジロウがリビングのような部屋に戻るとバクゴーの姿はすでに無かった。テーブルで飲み物を飲んでいるイズクに声を掛ける。
「あれ？バクゴーとイイダは？」
「部屋に向かったよ。2人とももう寝るって。」
「なんだ、バクゴーはまた外で寝るのかと思ってた。」
ふふ、と眉を下げてイズクが笑ったのにジロウは首を傾げた。
「仲直り、できたんじゃない？」
ああ見えて分かりやすいとこあるから。と言うのに、イイダとケンカでもしてたの？と言うとイズクが声を上げて笑った。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
