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ポコッ、と細い薪をカツキが焚べた。
「別に、自意識過剰なだけだろ。」
「ふぅん。私はてっきり、カツキが私にドラゴンのこと隠してたからだと思ったわ。
なんで、隠してたの？ドラゴンだから？」
膝を抱えて座るAはカツキの横顔をそっと覗き込んだ。
「そりゃぁ、そうだろうが。
お前の母親からもその方がいいっつって匿われてたわけだし。」
「あら、あの時、ロフォフォラで匿われていたの？
イズクも知ってるみたいだったし、お母様も全てご存知なのね。........なぁんだ、知らなかったのは私だけってワケね。」
眉根を寄せて、膝に顔を乗せたAを見てカツキは内心焦った。どう考えてもばつが悪い。肩を落としている様子も余計に罪悪感を駆り立てた。
「アイツんち転がり込んじまったのがきっかけだからな、だからデクは知ってるってだけだ。
............それに、
1人だけ知らなかった、なんつうのは、
お前だって大概だろ。」
あんだよ、姫って。とカツキが呟くように言い落としたのを見て、思わずAは顔を上げた。
「それは.......隠してたわけではないし...。」
俺ぁ知らなかったんだから結果一緒だろ、と今度はカツキが肘をついてそっぽを向いて見せた。
その動作でキラと揺れる赤い輝きに視線が取られた。
「あ、それ.....、
まだ持ってたんだね、ペンダント。」
「あ？おー、コイツのウロコだし、もう馴染んでんだよ。」
カツキは指摘された気恥ずかしさを表出させまいと努めた。そんなことに頓着する様子もなく、Aはふーん、と言いながらじっとペンダントを見つめている。
「じゃぁ、大丈夫だね。」
「は？」
話の流れが掴めないカツキが怪訝な顔をすると、にっこりとAは笑んだ。
「だってそれをカツキに渡してから、私たち友達になれたんだもの。
まぁ今までのことはお互い様ってことで。
ね、少し貸してくれない？」
そう言って手のひらを差し出して来るので、怪訝な顔のままカツキは首から外したネックレスをその白い手に乗せた。チャリ、と小さく音が鳴る。
Aはそれを顔の前でぶら下げて、そして嬉しそうに微笑んだ。
「このペンダントが変わらないように、
私たちも変わらず、友達よ。
ドラゴンを連れていても、
姫でも。
あなたと私は変わらない。」
その白い手が、ふわと頭に降りてくる。
再びペンダントはカツキの胸元でチャリ、と揺れた。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
