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「.........あれ....？カツキが居なかった......？
え........居ない.......？何これ、私夢でも見た.....？」
少し混乱した様子で顔を赤くするAに、イズクが苦笑した。
「ちゃんと外に居るよ。Aちゃんをトムラの手から救い出したのはカッチャンだよ。」
「夢、じゃなかった.......。」
「アイツほんと、作戦フル無視で突っ込むしさ。ドラゴンから降りるやA横抱きにしてて、ビックリしたよね。
気を失ったAをここまで運び入れて、それからはずっと外に居る。」
「ナーガくんの様子を見ると言っていたが。」
イズクが眉を下げて噴き出した。
「気まずいんじゃないかな。」
外に出てみると、もうすでに陽は落ちていたが、少し向こうに灯りがありすぐにカツキの居場所がわかった。
パチパチと焚き火の爆ぜる前に、ドラゴンが横たわり、それを背もたれにカツキが座っている。
Aが近づくと、草を踏みしめる音がしたのだろう、閉じていた瞼が開き、その赤い瞳がこちらを向いた。
「.......なんでみんなのとこに居ないの？」
「コイツが入っかよ。」
「この子の名前、ナーガって言うんですってね。ナーガはいつもは待機していて、カツキが呼んだら来るってイズクが言ってたよ。」
「あンのクソデク......。」
カツキがぶつくさ言うのを無視して、Aはナーガの前に歩み寄った。
「はじめまして、昼間は、乗せてくれてありがとう。
私はA、挨拶がしたいの、少し触れてもいい？」
ちょっと視線をくれて、しかしそのまま大人しくしているナーガを見て、Aはそっとその長い首に触れた。
ふわっ、とAの魔力がなびくのがわかった。カツキはそれをどこか懐かしく、心地よく思いながら背を向けていた。
「ヴォゥ」
「あら、仲良くしてくれるの？よろしくね、ふふっ。」
いつの間にか頭をAの手に擦り寄せているナーガを横目に舌を打った。
「ったく、オメーは火竜の誇りがねーのかよ。
Aもナーガを懐柔すんな。つうかなんでんな扱い慣れてんだよ。」
「へぇ、火竜っていうの、この子たちは。誇り高き名ね。
竜は、魔力に反応する生き物でしょう。それを知っていたから、感じてもらうのが1番だと思っただけよ。
私にもね、ちょっと似てる子がいるの。」
ナーガ、お願い、びっくりしないでね。そう言い置いてAは、ヴン、と空間に魔力を込めた。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
