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世界が 囁きかける
海は帰っておいでと
山はさあ行こうと
そして
空が呼ぶ
それが 普遍的ではないと
気付いたのは
いつだったろうか
「Aちゃん......っ、なんでそんな......っ、サクサク、歩けるん.....っ！」
魔法の杖がもはや登山用の杖と化し、ヨロヨロと傾斜を歩くウララカを振り返った。
「うーん、山育ちだから、
かなっ。」
私の故郷も田舎やし体力ある方と思っとったんやけど....全然ダメだぁ、とこぼしてウララカはへなへなと座り込んでしまった。
「俺も....体力には自信ある方だったんだけどよ......なんでこのパーティーこんなレベルの荒地をこんなスピードで進めるんだよ......。
俺の国の戦士だってこんな早かねぇよ.....！」
ぜぇ、と肩で息をするキリシマもヨロヨロと歩いてきてウララカの隣で立ち止まった。
「オチャコちゃんの言う通り、まぁ片田舎の国だしね。体力つくシーンも多いのかも。
もうちょっと行くと登山者用の小屋があるよ。そこまで行ったら今日はもう泊まり支度にしましょう。
大丈夫、この山には管理の一族も住んでいるし、じきに歩き方も慣れるわ。」
げぇ、ここ人住んでんのかよ.....と目の前にすでにそびえる切り立った岩山を見上げてキリシマは眉を顰めた。
「っし、俺はこのパーティーの中でもまだまだ未熟な方だ。旅の同行を願い出たからにはみっちり鍛えてかねぇとだしな....！いっちょやるか.....！」
うおおおおおおと声を上げてガシガシと傾斜道を登っていくキリシマを、ふふふ、とAは微笑んで眺めた。
(それにしても、何かおかしい......。
この気候でこんなシダ植物が生えているなんて初めて見たわ.....。
山の様子が、変わっている。)
Aは、キリシマがずんずんと進むその先、切り立った岩壁の道のその向こう、茂る緑の山へ視線を向けた。
(この奥.........
山自体に力が流れ込んでいるか、もしくは.....
何かいる。)
ザァァッ、と吹き下ろす山風が、Aの栗色の髪を大きく揺らした。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
