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んんっとあとは、と顎に指をつけ、口をとがらせて話題を辿るAに複数人は邪念を抱いた。
(((Aちゃん可愛いな....)))
ウララカやジロウ、ミドリヤは一様に同じ顔で微笑んでいた。その後ろでカツキは顔を逸らした。
「あっそうそう。入山許可ね。
あそこは王家の霊峰だからね。ウチの管轄なの。定期的に儀式に行くのだけれど、私とじいちゃんで行く時は3日もかからないわよ。」
さすがに両親も帯同すると1週間かかるけれど。
そうさらりと言われ、オジロは口元が引き攣るのが自分でわかった。
「王家ってお貴族様の最上位じゃんね？フツーは馬車移動っしょ....。なんなの、うちの王家なんでそんな足腰強いの。」
カミナリの一言にブフォッ、と隣のジロウが噴いた。プルプルと震えながら口元を押さえるのに必死な様子だった。
「と、いうことでしゅっぱー
「んで。目的は。
ピクニックとか抜かすんじゃねぇだろうな。」
またしても腕を振り上げ歩き出そうとした出鼻をカツキに挫かれ、Aはぶすうと口を尖らせた。
「言わないわよ。
霊峰ハクゲイがなぜ王家の管轄なのか。あそこは高位な神の住まう場所。
リリョウ様。我らユーフォルビア王家は代々かの黒竜の加護を受けているのよ。
戦いの前に、報告と、そして魔力の増幅を図る。」
イイダが小さく「竜.....、神話の時代の話ではないか....。俺たちにはドラゴン族ぐらいしかピンと来ないし、それ以外は本当に太古の物語だ....。」と呟いた。
俺なんて教養もねぇから全然わかんねぇよ....とキリシマは頭をかいた。
「......それでお前はやたら竜の扱いに慣れてるわけか。」
もうカツキ、扱いだなんて言ったら私、リリョウ様に消し炭にされちゃうわよ、とAはくすくす笑ったが、この中で最も常識人と呼べるであろうオジロは顔面蒼白であった。
「大丈夫、聖域である祠には私だけで行くから、みんなは近くで待っててくれればいいし。
対魔王軍戦、できることは全てやっておいたほうがいいわ。」
「ったく、尤もらしい根拠があンなら最初から言えっての。」
「言ったと思ったんだもの、しょうがないじゃない？」
ね？と顔を覗き込んで微笑まれ、カツキは思わずぐいっとその白い顔を押しやって距離をとった。
「このパーティーは、王女を名前で呼ぶ以外にもあのレベルの対応を強要されるのか.....？」
オジロが耳打ちするのに、イズクは苦笑して見せるより他なかった。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
