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ひとしきり笑い終えたジロウが目尻に浮いた涙を拭いながら言った。
「まぁ、それなりの軍勢を用意したいって言うんならA1人で足りてるだろうね。」
ギョッとした顔でカミナリがAを振り向いた。
「ええ、うちの姫様って私兵団いっこ分なの..........！」
軽く引き攣った顔に、Aは微笑みかけた。
「それでも手数で策を練ってきた魔軍には敵わなかったのよ。私はそれで、他を巻き込む決意をしたの。
だけど、どうしても、死んでほしくないの。だから、死なない仲間がほしいのよ。」
にっこりと、そしてさっぱりと、言いあげられて、カミナリは呆けた。
「うちの姫様強すぎね.....？色んな意味でだけど。」
「だね。たぶんこの子、ほんとに誰も死なせない気でいるよ。」
ふふ、流石キョウカね、と微笑んで、あ、とAは付け足した。
「あと、戦闘はまぁ避けられないんだとは思うけど。でも今回、討伐っていうより、私の目的はトムラにもう一度会いに行くことなの。
だから余計に、中枢まで行くメンバーは絞りたい。」
はぁぁぁ、とカミナリは床に向かって大きなため息をついた。
「もう好きにしてくれ！
まぁそれで選別するにしても、その他の戦士たちだってこの国を守りたい気持ちは収まらないぜ。
渦中の城だけじゃない。民間人も守りたいならやっぱり手数は必要なはずだ。
そっちは俺が声かけていつでも出れるようにしとっからさ。もうAちゃんは思うように、突っ走っちゃってよ。」
「それがこの子のペースで、術中なんだよねぇ。力にはなりたい、でも誰も止められない、ってね。」
「いやもうほんと、それ。」
くすくす、と口元に手を添えてAは可笑しそうに笑ったあと、そのまま笑顔を向けられ、勝気な笑みで言われた。
「とても頼りにしてるのよ、カミナリくん。」
「美人！ずるい！美人！！」
カミナリは膝で拳を握ってそう叫んだ。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
