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「わぁ、Aちゃん、一気にそれっぽくなったねぇ。」
食料の買い出しに分かれていたウララカは顔を綻ばせて言った。
「そうでしょう！これなら街の人と見分けがつかないわ。」
くるりと回ってワンピース状の上衣が風を孕み、動きやすく整えられた形の下衣が軽やかにステップを踏んだ。
合わせて揺れる栗色をふわと靡かせて、にっこりと微笑まれた。
(たしかに服は一般階級なんやけど、品っていうか......どうしてもただ者じゃ無い感は出ちゃうんだよなぁ。)
ウララカは微笑み返すだけに留めた。
「あっ、バクゴーくんも上着買ったんやね。新鮮！似合っとる！」
ふふん、と鼻を鳴らして見せたAに、ウララカは「もしかして？」と問うとうふふっと悪戯っぽい笑みをむけられた。
「そうなの、私が選んだのっ。良かった、似合ってるって言ってもらえてっ。」
ほらね、私の王国服チョイスも悪くないでしょ？と得意げにバクゴーに声をかけ、へーへーと受け流されている。
それでも脱ぐ様子もなく、上着の襟を引っ張っているバクゴーを横目に、ウララカは微笑ましく思った。
「...........俺も、Aに選んで貰いたかった....。」
戻るなり真顔でものすごい勢いでしょげる王子に、一同は手を焼いた。
Aの服を見繕った後、男性服を取り扱う店に移動したので、ちょうどショートたちとは入れ違いになったのだ。
「いや、ほらっ、話の流れで偶然だし、....私もそんなに頓着してる方でもないから、服選びは自信ないわ。」
「いいんだ、俺はAに、選んで貰いたかったってだけだから。」
「ハッ、タイミング逃した時点でただの駄々だろーが。」
2人して眉を下げているところへカツキがどうしてか得意げに割って入った。
「もうっ、やめてよねカツキ。
じゃぁショートくんには、ウンベラータ復興の暁にはもっと賑わった市場の視察ツアーを約束するわ！」
そういうんじゃ、ねぇんだけどな、眉を下げて微笑んだその小さな声量はAには届かず、にっこりと大きく笑んで返された。
「ではいよいよ本題ねっ。
ウンベラータギルドへ向かうわ。でもトムラに居場所がばれてまた民が犠牲になるのだけは避けたい。
だから王女だと公にせずに仲間を探したいの。」
「また無茶言ってくれるよね。今ウチの知り合いがギルドの舵取ってんだ。協力してもらおう。」
Aは微笑んで頷くとギルドへの道を一歩踏み出した。
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
