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朝ごはんをかき込むAを前に一同は安堵していた。
「ごちそうさま！
っさぁ、本題に、入ろうか。」
ハンカチで口元を拭いながら、Aは朗々と言い上げた。
「人質奪還、の次。
王国奪還ってわけか。」
壁に寄りかかってそうカツキが口を開いたのに、A以外の面々は息を呑んだ。
「やりたいことがある、つってたな。」
「うん、その前に、みんなの意見も聞きたい。外に出てもいい？」
そう促されて、一同は小屋の外、少し開けた河原に出た。
「王都から出たとは言え、念のため。」
Aは四方の目ぼしい大きさの石の上に何かを置いた。
(魔石だな。何するつもりだ？)
カツキはそれを視認して顎に手を当てた。
「この中だと、オチャコちゃんが1番魔力の系統が近いよね。
感想を聞かせてほしくて。」
感想？と首を傾げつつオチャコは促されるまま、Aに対面する形で魔石の中央に立った。
「みんなもね。」
そう言うなり、Aの長い髪が重力に反して持ち上がった。
「「「.............ッ、！！」」」
みな一様に顔の前に腕を構えた。
ゴッ、とひとつ音を立てて膨張し押し寄せる、大きな塊のようなその魔力。
その波が切れた瞬間に、正面でそれを受けたウララカはどしゃりと地面に膝をつけた。Aはそれに駆け寄り大丈夫？と声をかける。
「.......嘘、だろ。僕は剣士だ。
魔力の質が違う僕でも、ハッキリ感じる、なんだ、この魔力量........！」
「殿下は....、建国の父ハナモリ様とともにこの国の守護を担っておられる、この国随一の戦士でもあらせられる。
噂には聞いていたが体感すればこれほどとは...！」
他の者がそう言う中、ウララカが口を開いたのに一同は視線を集めた。
「こんな密度の高い魔力、初めて触れた.......。しかも膨大.....！
これが、魔力の塊である聖獣、召喚獣をも平伏させる魔導士........！」
カタカタと震える指を見つめながら言うウララカに、Aは平伏とかそんな感じじゃ全然ないんだけどねー、と頭をかいた。
「どうだった？みんなの出会った人物の中で、私の強さは。」
「それはもう、随一としか。」
イイダの言にみな一様に頷いた。それを見てAは顔を曇らせた。
「やっぱり........私の魔力量を上回る人物はそう居ない....。
でもね、みんな。
何体召喚獣を駆使しようと、
私と、じいちゃんは、魔軍に勝てなかったのよ。」
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作者名：泉
| 作成日時：2023年11月12日 22時
