12 ページ14
.
明るい日差しに穏やかなこの島の昼下がり。
葉隠さんたちは荷物探しに、尾白くんはビーチの応援、常闇くんは定時パトロールに、それぞれ出て行った。
それを見て自分も椅子から立ち上がった。
「僕も、ニイジマさんちの畑の手伝いに行ってくるね！」
事務所に残ったクラスメイトに声をかけて、いってきまーす！と叫ぶと同時に、塀の側でうずくまる影に足を止めた。
「活真、くん？どうかしたの？」
見知った顔に声をかけるとびくりとして立ち上がった。
「あ、あの.....き、昨日はごめんなさい.......。」
視線を下げながら気まずそうに言う活真くんに驚いた。
「えらいね、ちゃんと謝りに来てくれたんだ。」
「うん.....サクヤお姉ちゃんが教えてくれたんだ.....。」
ああ、と得心する。昨日、子供たち相手にかっちゃんが怒り出した時、何か違和感があったのはこれだったのかと。
いつもなら真っ先に止めに入るであろうAちゃんが、昨日はそれをしなかったんだ。
あの夜Aちゃんが微笑みながら子供たちを追って走って行った光景を思い出していた。
きっと、子供たちに丁寧に説明したんだろう。あの状況が示す事実を。淡々と、けれど決して冷たくはなく。
そして、子供たちをあたたかく家まで送り届けたのだろう。Aちゃんは、そういう人だ。
そうでなければこの子もこうしてここへ、来られなかったはずだ。
この子たちのことをどこまでも考えて行動する彼女の優しさを、活真くんの向こうに透かし見て目を細めた。
「僕、先に来ちゃったんだ。お姉ちゃんは隣のおばさんのお手伝いしてて.......。
あのね、サクヤお姉ちゃんが遊びにおいでって.....。お姉ちゃんが来たら、いっしょに会いに行ってもいい.....？」
「もちろんだよ！サクヤちゃんも喜ぶよ。」
窓辺で目を閉じてうつらうつらとしていた彼女の静かな横顔を思い出した。
どうしても出動件数が多くなるサクヤちゃんをみんなが気遣って、拒もうとする彼女に休憩時間を押し付けたのだった。
きっとサクヤちゃんは気になって眠れてはいないのだろうし、喜ぶだろうな。
そう思っていると、道の向こうから「おーい！」と幼い声が響いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泉(プロフ) - Lavenさん» サクヤは本名ではなくヒーロー名なので、ヒーロー活動中はヒーロー名表記を心掛けております。シーン表現として加味していただければと思います。 (2023年3月19日 23時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
Laven(プロフ) - 名前がサクヤって表示されたり、自分が入力した名前になったり分かりずらいです…｡ (2023年3月19日 22時) (レス) id: 0953f1e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 墨香さん» すみちゃぁぁぁぁいつもありがと...！ほんと、いつも君の言葉は私を掬い上げてくれる。筆をとったこと、後悔しないようにしてくれてありがとう。一緒に楽しめるように、がんばる。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - じゃんみくさん» ありがとうございます！！サクヤにものすごいクソデカ感情を抱いて下さってるのめちゃくちゃ嬉しいです*楽しんでもらえるように、したいなぁ。 (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - えぬさん» ありがとうございます！もしやエスプレッソ100票の方！？違ったらごめんなさい。Twitterやってます！izumi_morningですよろしくお願いします！せっっ先生！？なんて恐れ多いですが嬉しすぎます！ぜひお声かけて下さい* (2022年6月20日 21時) (レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉 | 作成日時：2022年6月19日 17時
