72 ページ23
.
「あなた.......もしかして.......、ルーミック社の.................。」
私が喉をカラカラにしながら、目を見開いて言うのを、男はとても嬉しそうに聞いた。
「あっ！やっぱり思い出してくれたね！だって君の運命の人だもんなぁ、忘れるわけないよね。」
「何......、言ってるの、あなた......。」
私がサークルテックに入社して間もない頃だった。他社との合同開発プロジェクトの話が持ち上がっており、手始めに参加してみてはどうかと話を受けた。
そのチームの中に、この男は居た。グループ会議で席を共にした事はあったかもしれないが、その程度の、大勢の中の1人でしかなかった。
「何って、君は僕の事がすごく好きだろう？そして僕も君を愛してる。これを運命の相手と言わずにどう」
「何言ってるの...！？確かにプロジェクトで一緒になったと思うけど、私あなたの名前も知らないのに....！」
「............は？」
男の顔色が瞬時に変わった。
「僕の名前を知らない？
そんなはずないだろ。どうしたんだよ。
僕らあのプロジェクトであんなに楽しい時間を過ごしたじゃないか。
君は僕の話を熱心に聞いてくれて、あんなに楽しそうにしてた。僕を見つめる君の赤い瞳は、僕への愛で満ちていたじゃないか。」
「本当に、何を言っているの。
あのプロジェクトで、私は会議の内容に耳を傾けただけ。会話のコンテクストとして、良好な流れを維持するために話を広げただけ。
喉元の威圧感に、ひとつツウ、と汗が伝った。
「っ、私は............！
脅されて話し合わせて嘘を吐けるほど、
諦めが良くないの！
あなたの事知らないしむしろ嫌いです！！！」
男の笑みを携えた顔が、徐々に崩壊していく様が言いようもなく恐ろしかった。
「は.....？ちょっと待ってよ。
僕はあれから会社だってクビになったんだ....。
僕にはもう君しか残ってないんだよ......。」
男の腕から生えた刃物が、グッと喉に押し当てられる感覚がした。喉が、熱い。
液体が皮膚を伝う感触が、気持ち悪かった。
ごめんなさい、お母さん。私はこの身勝手な性格のために今日命を落とすみたいです。
「今なら許してあげる。
A......
僕のA。」
「ソレ、テメェみてーなクソが呼んでいい
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あむんとぐだっと(プロフ) - こんばんは。進みたいけど進めない、じれったさにニヤニヤしながら読破させて頂きました。突然ですが緋夕ちゃんのイメソン的な曲がありまして…検索除けの上で紹介させて頂くと、｢誰.か.の.ヒ.ー.ロ.ー.に.な.り.た.か.っ.た｣という曲です。完結おめです!(文字数) (2019年11月24日 17時) (
レス) id: b22f5b86db (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - くじさん» くじさん推しカプ認定ありがとうございます！1人のキャラとしてちゃんと成り立ってて押して貰えるってすごいです涙。需要ありがとうございます！すごい...勇気を出してそーっと始めますね。。 (2019年11月8日 17時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - つるぎさん» つるぎさんいつもありがとうございます大好きです。。いつも2人ともの表情をしっかり捉えて下さっててとても嬉しいです*需要ありがとうございます涙。すごいブルブルしながら新作作成ボタン押しますね。。 (2019年11月8日 17時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - つゆゆんさん» コメントありがとうございます！誰かの中でそんな大きな出来事にして貰えるなんてと思ってとってもジーンとしました。需要ありがとうございます震えながらやりたいと思います...笑。 (2019年11月8日 17時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
くじ(プロフ) - んあああ推しカプ！！2章執筆お疲れさまでした！読むたびに緋夕ちゃんやかっちゃんの可愛さ・カッコよさに悶えてました…！3章も個人的に需要しかないと思ってます。結ばれたあとの二人とても気になる…。楽しみに待ってます！ (2019年11月6日 1時) (レス) id: db6b08d5ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉 | 作成日時：2019年9月20日 17時
