25 ページ25
.
「私は.....っ、向こうでちゃんと大学だって卒業したし、在学中もインターンで働いたりしてた.....！
お母さんが思ってるようなお遊びじゃないってば.....！」
またこの話だった。
私が逃げるように海外進学を決めてからというもの、彼女は何かとそれを否定したがった。
流石に口にはしないけど、きっと、見捨てられたと感じているのだろう......。
それだから、私が帰国して地元から離れたのも、気に食わないのだ。
こうなってしまえば何を言っても自分の憶測と感情に満たされた彼女の耳には届かず、受け入れてはもらえなかった。
『あなたって子は本当に、昔からずっと自己中心的だわ。少しは周りのことも考えなさい！』
ブツ、とスマホが音を立てて切れた。
私は一生懸命あなたの話を汲もうともがいているのに、あなたはいつも一方的に切ることが出来た。
認めて欲しい相手に認められず、“母”という大きな存在に、自身を、ないしはその存在を否定されることは、存外にキツかった。
「私のやっている事はそんなに.............、
自分勝手で、
周りに迷惑をかけている事なの..................？」
ギュウと、眉間に力がこもったと思ったら、その圧で流れ出たかのように涙が頬を伝った。
悔しさと悲しさがないまぜになり、気付けば嗚咽に変わっていた。
まずい。息が......。
呼吸の増え始めた自分の状況を、俯瞰するような自分が別で居た。それに反して呼吸は増えて行く。
ハッハッヒューハッハーッハーッ..........！
くそ......止まれ、止まれ..........！
息を止めてみても、吸ってみてもどうにもならず上手く酸素が取り込めない。
息が出来ないことで余計に精神は追い詰められた。
もうこんなの嫌だ...............。
誰か.........
昔は幾度となく思った台詞がつい蘇りそうになる。もう分かっているくせに。誰か、なんてそんな意味の無い台詞。
ギュウ、と胸の服を握り、歯を食いしばった時だった。
ガチャ、とドアが開き、淡い色のツンツン頭が視界をかすめた。
次の瞬間には、床にへたり込んでいた私の隣に、しゃがんだ赤い目と目が合った。
「なん、ハッ、で.............ヒュー、ヒュー、
あなた、っが..............！」
また、そこに。私のもとに立っているのか。ヒーロー、ダイナマイト。
思わずギュッと目を瞑って、幻覚とも取れる視覚を遮断しようと試みた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 264人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泉(プロフ) - 紅葉さん» ああ紅葉さんお久しぶりです...！また私の作品を読んで下さって嬉しいコメントまで下さって本当にありがとうございます*文才なんて恐縮ですが、これからも楽しんでもらええうように2人の物語を進めていきたいです* (2019年11月20日 17時) (
レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - あぁあぁあ貴方はどうしてそんなに私のドストライクをぶち込んでくるのかその文才が欲しいです緋夕ちゃん好きですかっちゃんかっこよすぎですありがとうございます！(ノンブレス) (2019年11月19日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - ナキさん» はじめまして！ありがとうございます！物語として面白いと言っていただけて作者として本当に嬉しいです....！こちらこそ嬉しい感想をありがとうございました！ (2019年11月14日 20時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
ナキ(プロフ) - はじめまして！一気に読ませていただきました！！すごく面白くて止まりませんでした笑続きも一気に読んでしまいそうです笑楽しい時間が過ごせました！ありがとうございました！ (2019年11月13日 21時) (レス) id: 7ca6842220 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - Chaosさん» ううありがとうございます....そう言って頂けると救われます....涙。増えないですが、楽しみに待ってると言って下さる方のために頑張ります....！お声かけて下さって本当に嬉しいですありがとうございます！ (2019年9月17日 21時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：泉
| 作成日時：2019年8月9日 21時
