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先日選んだ、15センチ角程度の生地の端切れが、服の形になっていた。
緋夕のラボには、試着スペースまで設けられており、商談から打ち合わせ、作業進行までひと通りここで完結するようになっていた。
デザインからある程度の設計、そして営業、生産までを手掛けられる人物は、この会社でも数人しか居ないと言う。それだからアイツは引き抜かれたのだし、この設備を与えられているのだろう。
ファーストサンプルに袖を通した。ひと通りの装着を終え、ガチャリと戸のノブを鳴らすと、その音に緋夕と丹波のオッサンの視線が集まる。
その視線を辿り、緋夕の瞳に焦点を結べば、緋色であるはずのそれは虹色に縁取られていた。
思わずそれにドキリとする。見つめるのも後ろめたいような、それでも視線が吸い込まれるような、そんな美しい瞳だった。
自身の様子に気付きもしない緋夕が、少し高揚した様子で口を開いた。
「やはり着て頂けると感慨深いですね.....！この黒の絶妙なマットと陰影の強弱.....！この生地にして正解ですね！」
特徴的な大きく立ち上がった襟元のパーツ。箇所箇所に散りばめられたゴツイベルト。そして全体的に暗い生地に映える、鮮やかなオレンジのラインが力強く走っていた。
「オレンジが、映えます。」
目を細めて、ニッ、と緋夕が静かに、そして力強く笑った。その細められた虹色に心臓が脈打つ。
ドッドッ、と鳴っているそこを思わず見つめた。ンだ、これ。
「おぉぉ...、いいじゃないか、ダイナマイト感が強く出てるね！」
「しかしこの感じですと、やはりファーストですね、諸々修正箇所があります。
もう少し股上を浅くしてあまりだぶつかないようにしましょう。機動性を上げておきたいです。
あとは身頃も少し絞りましょう。その方がダイナマイトさんの体型に合います。
丹波さん、前身と後身ですがカット修正は......」
「ふむふむ...確かにここはカットを立体に.....」
制作側が熱心に話しているのを俺はマネキンとしてただ聞くしかなかった。
長引くとダリィ....と多少ゲンナリしつつ緋夕を見やると、真剣な顔には緋色の瞳が深く色付いていた。
..........また戻っとる。もう何度か見た。見間違いなんかじゃねぇ。コイツの個性かなんかか......？
個性も、
少し勝気な笑みも、
俺はまだ、コイツの何一つ知らねんだな。
熱心に輝く目の前の緋色を見ながら、ぽつりと心に浮かんだ。
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泉(プロフ) - 紅葉さん» ああ紅葉さんお久しぶりです...！また私の作品を読んで下さって嬉しいコメントまで下さって本当にありがとうございます*文才なんて恐縮ですが、これからも楽しんでもらええうように2人の物語を進めていきたいです* (2019年11月20日 17時) (
レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - あぁあぁあ貴方はどうしてそんなに私のドストライクをぶち込んでくるのかその文才が欲しいです緋夕ちゃん好きですかっちゃんかっこよすぎですありがとうございます！(ノンブレス) (2019年11月19日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - ナキさん» はじめまして！ありがとうございます！物語として面白いと言っていただけて作者として本当に嬉しいです....！こちらこそ嬉しい感想をありがとうございました！ (2019年11月14日 20時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
ナキ(プロフ) - はじめまして！一気に読ませていただきました！！すごく面白くて止まりませんでした笑続きも一気に読んでしまいそうです笑楽しい時間が過ごせました！ありがとうございました！ (2019年11月13日 21時) (レス) id: 7ca6842220 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - Chaosさん» ううありがとうございます....そう言って頂けると救われます....涙。増えないですが、楽しみに待ってると言って下さる方のために頑張ります....！お声かけて下さって本当に嬉しいですありがとうございます！ (2019年9月17日 21時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2019年8月9日 21時
