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「...................そうかよ。
ンじゃ何で近付いたり離れたり繰り返してんだ。」
真っ直ぐ絵を見ていた瞳が苦笑する。今度は本物の苦笑だな。
そう思っていると、細められた目が開くと同時に緋色の瞳がのぞいた。
............また戻った。
「いやまぁ、世界観なんかを見に来ているのもあるんですが、描き方を、見に来ているもので...。いやほんとお恥ずかしい...。
近くで筆致や色の置き方を、少し離れて構図や全体を把握しようとしています。
今回は19世紀のロシア美術なので精密な具象にも寄っているのでそれほど差はないですけど。同じ19世紀でもフランスの印象派なんかになると、近くと遠くでは全く見え方が違うんですよ。」
「へーえ.....。」
いつも仕事が出来るヤツ、という感じで、簡潔に要約した、必要なことだけを話す喋り方のコイツが。今は照明に照らされる絵画をその瞳に映して、キラと輝くような瞳でくるくると喋っている。
そうか。コイツは俺が見てる“そっち”じゃ、ねーんだな。
何となく、納得する。
「あっ、ごめんなさい、ペラペラと。ご興味無いですよね。」
「ま、仕事じゃなけりゃプライベートじゃ来ねー場所だな。趣味なんか。」
「ええ...昔から、母がギャラリーなんかには、手を引いて入ってくれたものですから...。
今は気になる展示なんかがあれば足を運ぶ程度ですけど。」
「仕事にも影響しとんか。殊勝なこったな。」
「はは....だと良いんですけど....。本当に、殆ど趣味でしかなくて。」
「あっ....爆、豪さん........！！」
ただ曖昧に笑っていた緋夕の白い顔が驚愕に染まる。何事かと身構えるとガバとその頭が下がった。
「そんなお話をしている場合ではありませんでした！先日は助けていただき本当にありがとうございました......！」
声のボリュームに配慮するのを失念したその台詞は、周囲の視線を一時全て集めた。
す、すみません....。と小声で緋夕がこぼすと、視線はほどけていった。
「ぶっ、くく......！
ハハッ、ンだそれダセーな。」
「不恰好ではありましたけど....お礼に対してそんな笑わなくても.....うう...。」
がくりと肩を落とすソイツを尻目に椅子から立ち上がった。
「ハッ、テメーただ能力あるだけのカタブツかと思や、案外抜けてんな。久々にンなウケたわ。」
不審者の事情聴取はこれで終まいにしたらぁ。
後ろ手に手をひらと上げ、巡回に戻った。
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泉(プロフ) - 紅葉さん» ああ紅葉さんお久しぶりです...！また私の作品を読んで下さって嬉しいコメントまで下さって本当にありがとうございます*文才なんて恐縮ですが、これからも楽しんでもらええうように2人の物語を進めていきたいです* (2019年11月20日 17時) (
レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - あぁあぁあ貴方はどうしてそんなに私のドストライクをぶち込んでくるのかその文才が欲しいです緋夕ちゃん好きですかっちゃんかっこよすぎですありがとうございます！(ノンブレス) (2019年11月19日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - ナキさん» はじめまして！ありがとうございます！物語として面白いと言っていただけて作者として本当に嬉しいです....！こちらこそ嬉しい感想をありがとうございました！ (2019年11月14日 20時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
ナキ(プロフ) - はじめまして！一気に読ませていただきました！！すごく面白くて止まりませんでした笑続きも一気に読んでしまいそうです笑楽しい時間が過ごせました！ありがとうございました！ (2019年11月13日 21時) (レス) id: 7ca6842220 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - Chaosさん» ううありがとうございます....そう言って頂けると救われます....涙。増えないですが、楽しみに待ってると言って下さる方のために頑張ります....！お声かけて下さって本当に嬉しいですありがとうございます！ (2019年9月17日 21時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2019年8月9日 21時
