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気がつけば腕の中に抱き寄せていた。
Aは完全に固まっているようだった。
その様子にはっとし、まだ名残惜しさの残る腕をゆっくりと解いた。
Aを抱き寄せたのはこれで2回目だった...。
その後俺を送るのだと渋るAを、ジジイが心配すんだろと諭し家まで送り届けた。
まだ柔らかい温もりが残るような気さえする自分の手を眺める。
今日は色々あったにせよ、自分の行動を省みた。
何かきっかけがあれば、俺の自制心は脆く崩れ去り、この手は簡単にAに伸びる。
...ぎゅっと拳を握る。
守るって決めたんだろーが。
俺が傷つけるような真似してどうすんだよ...!
キッと夜に染まり始めた空を睨んだ。
机に頬杖をつき教室の喧騒を横目に、窓の向こうの青を眺めた。
いつかのジジイの言葉がとりとめのない思考に響いていた。
『そんだけ一緒に居て...勝坊、おめぇ昔っから妙にみみっちいとこがあるがなぁ...おい、そういうとこだぞ...』
チッ
思わず舌打ちがこぼれる。
言えるもんならとっくに言ってる。
...踏み出せずにいる理由はあった。
「Aちゃん今度メシ行かね？何好きなん？」
「？食堂？いいよーみんなでお昼食べよう。私は煮物が好き。」
ふふ、と柔らかく笑う。
Aは元々、そういった浮ついた話に無頓着な方ではあった。
そもそも幼い頃から、Aは同級生であっても男に対して苦手意識が強かった。
近所だということで親同士の付き合いもあり、俺やクソデクに対してはあまり抵抗が無かったようだが、俺たち以外の男に積極的に関わろうとは決してしなかった。
そこへ中学の変質者の一件があった。
それ以来Aは、異性に対する頓着が殊更薄くなったように感じる。
異性としての認識を無くし、個人として相手を認識することで自分の恐怖心に目を背けている。
浮ついた話に対しても、『そういう可能性』を無意識的に排除していた。
...そうでなければ、Aの中で相手が恐怖の対象になってしまう。
Aが無意識に見つけた、生きて行く上での術だった。
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泉(プロフ) - 眠さん» コメントありがとうございます！共感していただけて嬉しいです〜！ (2021年9月29日 21時) (
レス) id: 250c48e64a (このIDを非表示/違反報告)
眠 - 結界師懐かしい！！確かにヒロアカの世界ではその個性最強よなww結構マイナー？っちゃマイナーなアニメだから嬉しい。 (2021年9月29日 19時) (レス) @page12 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます...！結界師知らない方にも「楽しめる」と言ってもらって嬉しかったんですが、知ってる方にもこんな褒めてもらえるなんて感無量です...！ご都合捏造もありますが楽しんでもらえると嬉しいです！いやほんとうっれし、、 (2018年9月24日 1時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - すごい結界師ネタとして作り込まれててすごいなと思いました！そうだよねぇ…滅するチカラなんだよね本来…。てかかっちゃんかっこよすぎません？！ヤバいよぉおお！！むっちゃええわぁあ〜！んだば続編行ってきます！ (2018年9月24日 0時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
泉(プロフ) - 藍猫さん» そうです！個性結界師パロなんですが、私の中での設定背景では、数代後の結界師の末裔的な感じです。そんなには代数経ってない感じのイメージですね〜。気付いて面白いと言ってもらえるなんてとても嬉しいです！^^* (2018年6月16日 21時) (レス) id: 54e9f26b3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泉 | 作成日時：2018年2月16日 13時
