運命 ページ28
「じゃあ美味しい焼き菓子をくれたお礼に、この世界的名探偵の僕が君に占いをしてあげよう！」
「えっ私占い好きなんですよ〜ぜひともお願いします！」
占いは元来好きなのでとても嬉しかった。
乱歩さんは薄く目を開いて私を観察するようにじっくり見た。
目蓋の隙間から覗く若竹色の瞳に少しどきりとした。なにもかもが見透かされるような感覚がした。そのビー玉のような無邪気な目に、全部が映し出される気すらした。
占いと彼は言ったが、どういう占いだろうか。
タロット……ではなさそう。手相？人相？誕生日？それとも軽い心理テスト的な？
唾を飲んで真剣な様子の彼をじっと見つめていると、ぱっともとのニコニコした顔に戻って至極明るい口調で言った。
「だいたいわかった。なにから知りたい？」
『わかった』？
手相を見たわけでも、なにか質問をされたわけでもない。
それなのに乱歩さんはわかったと言った。どういう種だろうか？
信憑性を確かめるためにもまずはこの質問。
「いくつか聞きたいんですけど………待ち人、なんてどうでしょう？」
待ち人は当たり前だが、私の運命のひと。つまり国木田さんだ。
既に現れているが、乱歩さんの占いはどういう結果を出したのだろう。
「待ち人はもう来てるでしょ？」
さらりと彼はそう言いのけた。口ぶりからして、私が既に待ち人と出会っていることまで当ててきている。感激した。
「わあっすごい！当たってますよ、乱歩さん！」
「世界一の名探偵である僕に見抜けないことなんてないからね！」
「なんですかそれかっこいい！」
「はっはっは！そうだろう、そうだろう？」
武装探偵社にはこんなにもすごい人がいるんだ。ということはここで働いている国木田さんもさぞ優秀なんだろうな。
上がったままのテンションで、先ほどから口を閉じたままの国木田さんの方へ視線を向けると少しムッとしたような顔をしていて驚いた。
だが、確かに職場で騒がれたら良い気はしない。少し恥ずかしく思えてきて、声のボリュームを下げた。
「じゃあ乱歩さん、恋愛運ってどうなんでしょうか？」
すると乱歩さんは私とは裏原にさっきまでの態度を崩さないまま答えた。
「恋愛はずばり『叶う、待て』だね。」
叶う、待てかあ。国木田さんとちゃんと結ばれるってことか。
待てかあ……待て、ねえ。
まだ国木田さんの気持ちは傾いてないってことかあ………
勝手に凹んだ午後３時。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 更新楽しみにしています！ (2020年2月8日 1時) (
レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
朝霞(プロフ) - うたプリ大好き?さん» すみません……作者の怠惰です……３月になったらぼちぼち更新できると思いますので、しばしお待ちください…… (2020年2月8日 0時) (レス) id: 4b1c679789 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2020年2月7日 19時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
朝霞(プロフ) - 闇川幽鬼さん» 初めまして、コメントありがとうございます。近頃なかなか更新ができておらず、申し訳ないです。頑張って完結させたいと思いますので、2人の運命の行く末を見守ってやってください。 (2019年6月24日 20時) (レス) id: 4b1c679789 (このIDを非表示/違反報告)
朝霞(プロフ) - 黒バイさん» ありがとうございます。亀更新っていうかもうカタツムリ更新なこの作品ですが、完結したらラッキーぐらいの軽い気持ちで応援よろしくお願いします。 (2019年6月24日 20時) (レス) id: 4b1c679789 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
