episode83 ページ33
本格的に各クラスで学園祭に向けての準備が始まり、放課後は準備のために多くの生徒が遅くまで学校に残るようになった。
例に漏れず私も最近は学校に残るようになり、今日も下校完了時刻ギリギリまでクラスの作業に加わっていた。
｢Aちゃん、お疲れ様！ばいばーい！｣
｢うん、お疲れ様。また明日ね｣
電車通学の風華ちゃんと別れ、私は1人で帰路につく。
しばらく1人で歩いていると、隣に少し大きな影が並んだ。
その影の主を見上げ、私は思わず立ち止まってしまう。
｢……。うわぁ！？｣
｢大袈裟な反応だな……｣
学秀君は私に合わせるように足を止め、眉をひそめた。
私は無言で慌てて目を逸らし、
先程より少し大股で、ペースを上げて再び歩き出す。
しかし、彼は当たり前のように隣を歩いてきた。
私にとってはちょっとキツい早歩きなのに、隣に並ぶ学秀君はそれをものともしていないようで、なんだか腹が立つ。
何か言い返してやりたい気持ちもあるけど、
学秀君に対して何か言おうとするだけで変に緊張してしまう自分もいて、上手く言葉が出てこない。
結局そのまま、二人の間にはしばらく沈黙が続いた。
｢A、最近はあからさまに僕の事避けてるね｣
帰路も半分を過ぎた頃、彼の方から沈黙は破られた。
｢そ、そんなことは……｣
一応否定のような言葉を口にしようとするも、図星である。
最近の私は、学秀君を意図的に避けていた。
｢別に、構わないよ。
悪い意味で避けられてるわけではなさそうだし｣
｢な……っ｣
するりと手を取られ、指が絡まる。
思わず彼の方を見上げるとバチリと視線がかち合って、彼は全てお見通しだと言わんばかりに得意気な笑みを浮かべた。
私は慌てて顔を逸らし、視線を戻す。
日が暮れ、辺りが暗くてよかったと心底思った。
きっと私の顔は真っ赤に染まっていることだろう。
それから私の家の前で別れるまで、ろくに会話は無かったけれど、互いに絡まった指を解こうとはしなかった。
次第に歩くペースが落ちたのは無理な早歩きによる疲労からだと、自分に言い訳をした。
続く
お気に入り登録で更新チェックしよう!
←episode82
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 278人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - 嵐符さん» ✉️。良かったです！ではボードの方で宜しくお願いします！ (2月25日 9時) (
レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
嵐符(プロフ) - マニ。さん» 確認しました！ありがとうございます！ (2月25日 9時) (レス) id: 84f6dbb787 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 嵐符さん» あのそちらのボードに返事送りましたので通知来てると思います。ボード返事待ってます！ (2月25日 9時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
嵐符(プロフ) - マニ。さん» コメントありがとうございます！ボードという機能…恥ずかしながら知りませんでした…。勝手が分からないのですが、私がマニ。さんのボードに行けばいいのか、私のボードに来ていただけばいいのか、はたまた全然違うのか…。どうしたら良いのでしょうか…！？ (2月25日 8時) (レス) id: 84f6dbb787 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 嵐符さん» ✉️。こんにちは！面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます！ (2月25日 5時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
