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扉を開けた瞬間、すぐに心躍るような甘い匂いに包まれた。
ショーケースに美しく整列して収められたお菓子たちは、いつ何度見てもヨダレが出るくらいおいしそう。
「わ、いい匂い」
「わかる！ここのお菓子、ほんとに全部おいしいんだよ」
ユジンくんは先程の不機嫌が嘘みたいに目を輝かせてお菓子を眺め始めた。
その姿を見て胸を撫で下ろすと同時に、いつもはカウンターでお菓子選びを手伝ってくれる奥さんの姿が見えないことに気づく。裏にいるのかななんて考えつつ、私もユジンくんの隣でお菓子を見物し始めた。
「全部おいしそう……」
「ほんとだよね。……あ、これ前あげたクッキーだよ」
「ん、どれですか」
ちょうど私の目の前にあったクッキーを指さすと、ユジンくんはこちらに体を向けた。その拍子に肩と肩がくっつく。
え、と思わず声が出たが彼はそんなの気にも止めず、目の前のクッキーの種類を数えながらわぁと感嘆している。
ち、近い。あまりの近さに私1人だけお菓子どころではなくなってしまった。
瞬きする度に揺れる長いまつ毛やうるうるの瞳につい見入ってしまって、心臓が激しく動き始める。そのまま固まって動けずにいると、ふとこちらを向いたユジンくんと超至近距離で目が合った。
「……ヌナ」
世界がスローモーションになったみたい。ユジンくんはそのままゆっくりと何度か瞬きを繰り返すと、何を思ったのかさらに顔を近づけてきた。
さらさらの前髪が私の顔を掠める。金縛りにあったみたいに、ユジンくんのきらきらな瞳から目を離せない。
どんどんと近づく距離、無くなる逃げ場。
「ゆ、じんく」
「あら？Aちゃん？」
「わっっ｣
突然かけられた声に驚き反射でユジンくんから2m距離を置く。
声の主を見ると、いつもお世話になってるこのお店の奥さんだった。
彼女はきょとんとした顔で私とユジンくんを順番に見たのち、はっとした顔をする。
「Aちゃん！この子Aちゃんの彼氏？」
「ちがいますちがいますちがいます」
期待に瞳が輝いてる奥さんに首をもげるほど横に振る。あらそうなのと少し残念そうな彼女を横目に、一刻も早く退散したい私はユジンくんに何を買うのか聞く。すると私が前に渡したクッキーと同じものを指さした。
「前のと同じのでいいの？」
「はい、これが好きなので」
そっか、と返して目の前で手際よく包まれるクッキーを眺めながら、まだ早い心臓を落ち着かせようとバレないように深呼吸をした。
続く (更新停止中)
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ronri - すごく読みやすくてこの作品めちゃくちゃお気に入りです、次の更新楽しみにしてます！ (5月19日 13時) (
レス) @page20 id: bd73064382 (このIDを非表示/違反報告)
しもあさ(プロフ) - サラダ油さん» コメントありがとうございます！思いついたままの書きなぐり小説ですが楽しんでいただけて嬉しいです(*^^*)更新頑張ります！ (2023年4月5日 19時) (レス) id: 694814ed96 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油(プロフ) - 最後誰と結ばれるのか凄く気になります！学パロ大好きなので嬉しいです！更新待ってます(*´`*) (2023年4月5日 13時) (レス) id: 5ecae127c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しもあさ | 作成日時：2023年4月4日 0時
