44：奇縁-2 ページ3
///
敵を知り己を知れば百戦危うからず＿＿＿かのナポレオンの座右の書であった、という説もある「孫子」に残された格言である。伏黒甚爾の戦闘スタイルは正にこの言葉に近いと言えよう。
朝倉Aの暗殺任務も彼は情報という情報を調べ上げ、徹底した作戦で向かうつもりである。
しかし相手は数ヶ月前に呪術界に現れた新星。有益な情報が全くと言って良いほどなかった。
［朝倉Aには兄がいる］ どうでもいい。
［桃架呪法を操る術師であり、五条悟によって保護された］ 知ってる。
［朝倉Aの歴代の恋人は中島××、佐藤××……］興味ねぇし関係ねぇだろ。
正直にいうと伏黒甚爾はかなり頭を悩ませていた。相手はガキにしてもあの朝倉家の相伝持ち…術式の詳細は勿論、何から何まで知っておきたい。
その一心で情報を漁っている内にとある有益な情報を見つけた。
［呪術に関しては一般人に毛が生えた程度の素人である為、呪力探知はザル］
…へぇ。
//
そして伏黒甚爾が参上したのは朝倉家本邸。所謂敵陣である。
情報がないなら自分で集めるまで、そんな甚爾らしくない戦法だが甚爾にはある自負があった。
それは自分は相手に気取られないこと。甚爾はこれまでの人生で、五条悟を除く全ての生物に自らの存在を気取らせたことがない。
優れた洞察能力、卓越した五感、呪力のない言わば透明人間であること。以上の理由から本気を出した彼に気づくのなんて六眼持ちの化け物以外有り得ないのだ。
そして今回の相手は対人間最強を冠する術式を持つが、呪術に関してはどが付くほどの素人。こちらから近づくより何も情報がない状態で暗殺を実行する危険の方が明らかに危険だと甚爾は判断した。
そうして甚爾は「偵察」として朝倉家本邸に遥々足を運んだのだ。
(筋は悪くねぇが…ありゃ完全に雑魚だな)
甚爾が本邸に潜伏した時、朝倉は丁度体術の指導を受けていた。
朝倉家の誇る日本庭園の一角に息を潜め彼女の様子を探るも…少なくとも体術に関しては本当に只の素人。公立中学の体育でも見ているのかと間違うレベル。
『いったぁ…』
体術の講師に一本奪われ、額を抑える朝倉。
だがそんな彼女の醜態を見ても甚爾は朝倉に対する警戒を薄めない。
甚爾の中で現時点での1番大きく信用のある情報は「朝倉がまだ殺されていない」ということだ。
数億の賞金が掛けられているということは、これまでも沢山の人間に殺されかけてきたということ。
こんな形でも朝倉にそれを回避する力量があるのか、はたまた優秀な護衛でも付いているのか…。
何にせよ、伏黒甚爾の情報収集は始まったばかりである。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rona(プロフ) - ramiさん» とんでもないイケメンにモテる朝倉ですね最高すぎる笑 (2月24日 22時) (
レス) id: 37a0da4135 (このIDを非表示/違反報告)
rami(プロフ) - ronaさん» このコメント手叩いて笑っちゃいました笑朝倉は元カレ5人くらいいるハズなのできっと菊池松島もわらいると思います笑 (2月24日 19時) (レス) id: d081508064 (このIDを非表示/違反報告)
rona(プロフ) - しょうもないですけど私は歴代彼氏中島健人佐藤勝利説を推したいです (2月23日 23時) (レス) @page3 id: 37a0da4135 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rami | 作成日時：2024年2月23日 21時
