泣き顔。(青) ページ9
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舞台が決まったAは、ドラマのときよりエクステで髪を長くしてた。
「A、女の子やん。」
『うるさい！馬鹿者！！！』
「何その話し方笑」
琉巧がAをからかっとる。
微笑ましい光景やけど、俺は長い髪を見ると、まだ馴染めていないAを思い出してしまう。
当時、Aの存在はちょっと異質やった。
ダンスめっちゃうまい子がJrの中にいるって話題で、それがAやった。
でも誰が話しても、そっけなかった。
「なぁ」
『……』
「なぁって！」
『……ん？』
耳からイヤホンをとり、自分の顔に指をあてるA。
「これ忘れ物」
プリントを貰い忘れたAに渡してくれと頼まれた帰り道。
『あ、ありがと…………あ！』
遠慮して笑いながら受け取ったAと同時に、風でキャップが飛ばされた。
「帽子！」
風で帽子が飛ばされたのを追いかける。
「強、風、、これ、、え」
そこにいたのは、髪が長いAやった。
『…ありがとう、西村くん。』
お礼を言って受け取ったAは、そのまま帰っていった。
「……え？」
Aって女の子やったん？
「あぁ、そうやで、女やで」
「え！誠也君知ってたんですか？」
「まぁ、同期みたいなもんやし？年は離れとるけど」
「へ、へぇ」
「仲良くしたり」
Aが女の子って知ってる人はちらほらいた。
事情があるのか、ないのか、知らんけど、入所した年には活動せんかったらしい。
「あ」
噂をしてたら、ご本人登場。
『！』
「え」
泣いとる。
「ちょ、ちょっと！」
『……なに』
「か、髪どうしたん？」
綺麗な長い髪が、左右非対称に肩くらいまで切られとった。
『…なんでもなっ！』
涙を手の袖で拭う。
「…よしよし」
頭をポンポンしてみた。
『……ｸﾞｽ』
Aの事は知らへん、まだ全然知らへんけど、僕なりに泣いてる彼女を慰めたかった。
「涙止まった？」
『…ありがと、西村くん、髪切ってくれへん？』
「え、でも」
『切ってほしい。』
このあと、ほんとに髪を切ったんは2人だけの思い出。
髪が短くなったAは徐々にみんなと仲良くなっていった。
『どうしたん？ニヤニヤして？』
「いや、別に」
『なんでなん！』
※髪切り事件(スタイリストからの悪質な嫌がらせ)がきっかけに、当時、Aはにしたくにべったりだった。
最近はにしたくがAにかなりツンデレ。
でもお互い特別な存在と語ってる。
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作者名：みみ | 作成日時：2023年10月26日 0時
