キス魔はお断り。「赤」 ページ3
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ライブ初日。
気合が入る初日。
そんな、少し緊張感があるような空気感を壊す声が聞こえる。
『ちょっと変わったポニーテールにしてみてん！どう！』
「可愛いやん」
『やろ！やろやろ！ここがな、三つ編みで』
「ポニーテールって馬の尻尾って意味らしいで？」
『おま、小島、頭かち割るぞ』
「おー怖〜」
『今！良規と話してるの！邪魔せんといて！』
Aのうるさいキーキー声が響き渡る。
別にうるさいとか、そうゆうんじゃなくて、俺には自慢せぇへんのかいの、謎の気持ちがある。
今Aは絶賛ドラマ撮影中、髪が長い状態で、色々とヘアアレンジできると嬉しがってた。
『あれ、誠也やん。』
「あ、うん、」
『あ、うんってなんやねん笑』
みんながいるホールじゃなく、珍しく楽屋にきたA。
『ここにあったかな〜』
「どうしたん？」
『うわ！びっくりした〜』
「そんな驚かんでもええやん笑」
『背後には立たんでほしいわ』
「お前は武士か。」
『可愛いゴムあったかな〜って、三つ編みとれてん。』
「あ〜ここ」
『………うん』
後ろから、Aの髪を触る。
『…長ない？』
「ん？」
『お触り禁止！』
「結んだる。」
『え、それはありがと』
器用に細い三つ編みを作ってく。
「女子は大変やな〜」
『そうよ、可愛くなって見てもらいたいもん。』
「……Aも？」
『まぁ、うん、ファンには沢山見てもらいたいで。』
鏡越しに優しく笑う彼女は、ファン思い。
「できたで」
『ありがと〜さらに可愛いくなってる〜』
「ま、仕上げがまだやな」
『え、ちょ！？』
Aの手を掴んで、肩を押し、身体ごと鏡に押す。
無防備になった首に噛むようにキスを落とす。
『ぃ、せ、誠也、っ』
「……ｭ、うーん、あんま付かへん。」
『な、な、』
「もう一回するわ」
『何してんねん！！！！！』
「おま、痛いねん！何その力！？」
ビビるくらい大声と得意の合気道の技と怪力を出したAの顔は、真っ赤やった。
なんか嬉しくて頬が緩む。
『何笑ってんねん！！！』
「あれ？A髪型変わったん？」
『アイツがいじめた』
この日のX(Twitter)トレンド1位が、Aの絆創膏だった。
誠也がご満悦なのも、誠也とのパートになるAが終始睨んでいたのも、ファンたちのざわつきがすごかった。
さすが、元祖カップルペア(嘘)。
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作者名：みみ | 作成日時：2023年10月26日 0時
