愛され短編集13[YouTuber]

♪彼女をつくらない理由(QK 川上) ※訂正 ページ23

(かなさんリクエスト)


〜川上side〜

『……いらっしゃい、拓朗。』


川「お邪魔します。」



元カノのAの家に遊びに行くようになったのは、別れてから1ヶ月も経たなかった。




別れたきっかけはとても単純で。

かつ、俺にとっては複雑で。



『拓朗は私よりもっといい人いるよ。』



彼女は遠くを見つめて、ハッキリとそう言った。


俺はまだ好きなのに、彼女の気持ちを遮ることもできずにただ頷くことしかできんかった。



『あー、ねぇ、近況報告とか、しない？』


川「近況報告？」


『うん。拓朗の身の回りの事、そんな知らんしさ。』



急に彼女がそんなことを言い出した。



川「俺は特にないけど。」


『そっか。』



彼女は疲れたような笑を零して、俺に別れを告げた時と同じように遠くを見つめた。



『私ね、彼氏できたの。』


川「……そ、か。」



心臓を鷲掴みされた気持ちになった。

あぁ、もう、俺の手に届かないところに行ってしまったのか。



そう思うと何も言えなかった。



『拓朗みたいにドSじゃないし、拓朗と同じくらい知識量があってね、ちゃんと私のこと好きって言ってくれるの。喧嘩もしないし、ほんといい人なんだよ。』



彼女の言葉一つ一つが心に深く突き刺さっていく。


彼女に「好き」とちゃんと言ったのはいつだろうか。まともに言ったこと、ないっけ。



『でもね、拓朗みたいにすっぴんなんて見せられないし、愚痴も何も言えないし、夢も見させてくれないの。現実見ろよ、って。洗濯物畳むの忘れるとね、また怒られちゃうの。拓朗みたいにね、笑って一緒に畳んでくれないの。それに、私が拓朗の話するとすぐ怒るの。』





『だから、もう拓朗と会えないの。』



彼女の笑顔は、取って張りつけたような笑顔になっていた。今すぐ、今すぐにでも抱きしめたいけど彼女には彼氏が存在している。

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長くなりそうなので次ー！

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