サヨウナラ ページ23
Aの言葉にハッとして顔を上げた。
『私なんて元々いなかったって思えばいいんだよ。』
「なに、いって、」
『A Aなんてこの世に存在しなかったの。ありえない存在。』
じゃあ今まで俺が付き合ってたのは誰?キスしたのは?抱きしめてたのは?ご飯を作ってくれたのは?デートしてくれたのは?手を繋いでくれたのは?編集を手伝ってくれたのは?一緒に寝てくれたのは?
一緒に……結婚するつもりだった人は誰?
「……無理に決まってる、」
『でも、「でもじゃない。絶対、なにがなんでも、Aの存在、忘れるつもりなんてないから。何があっても。」……ありがとう。』
Aは嬉しそうに目尻を下げた。
次の瞬間、
.
.
ピッー!ピッー!ピッー!ピッー!
『ゲホッ、ゲホッ、グハッ、!!!!!』
「え、A!?」
病室に響き渡る嫌な音。その音はまるで、俺とAの別れを告げる危険を知らせるような音だった。
医「っ、意識がない!直ぐに治療室に……!」
バタバタする病院の人達。
俺はただ、それをぼーっと見つめること以外、何も出来なかった。
【治療中】
赤いランプが光っている。
俺はその前のベンチで項垂れるしかなかった。
.
.
神様、なんでこの世界は無情なんですか。
なんでこんなに苦しい世の中なんですか。
どうして、どうして愛するものと別れなければならないんですか。
どうして_______________
「あの、」
「はい、?」
目の前に白衣を着た、端正な顔立ちをした若い男の人が立っていた。
「あなたは、Aさんの彼氏さんでいらっしゃいますか?」
「えっ、はい、」
「ではこれを。」
ポケットから白い封筒を出してきた。
中身は何となく察した。
「これ、Aさんからです。」
「……受け取りたくないんですが。」
「受け取ってください。私は彼女からただ“渡してください”と頼まれただけです。破るなり捨てるなりなんなりして下さい。それを止める権利は私にはありません。」
そして半分押し付けるかのようにその封筒を渡された。
俺はそっとその封筒を開いた。
中には、少し雑な字で書かれた手紙が入っていた。
“ごめんね、本当にごめん。幸せになって。私よりいい人見つけて。約束だよ。大好き。”
「危ない状態なのにいきなり紙とペンをくださいって言われた時は驚きました。余程、愛されているんですね。」
その男の人はそう言って立ち去って行った。
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もちご(プロフ) - ただのJCみやなーさん» どういたしまして!いやいや、そんなことないですよ…私の語彙力なんて米粒サイズですよ…w ホラゲーほんと面白いです!あれは何回見ても笑っちゃいますw (2019年8月21日 7時) (レス) id: 097e58c5bd (このIDを非表示/違反報告)
ただのJCみやなー - もちごさん» かいていただきありがとうございます!もちごさんの作品大好きです!語彙力に好かれてる…。語彙力わけてくれぇ…。あと!ホラゲーめっちゃ面白いですよね!何回もみちゃいます…w (2019年8月21日 2時) (レス) id: 14a03a8658 (このIDを非表示/違反報告)
もちご(プロフ) - らんごさん» ありがとうございますぅぅう……(´;ω;`) (2019年8月19日 23時) (レス) id: 097e58c5bd (このIDを非表示/違反報告)
らんご(プロフ) - もちごさん» いえいえ、全然大丈夫です!気にしないでください!これからも作品楽しみにしています (2019年8月19日 13時) (レス) id: d9eb04b864 (このIDを非表示/違反報告)
もちご(プロフ) - のののさん» 喜んでいただけて良かったです!私もまさか書ける日が来るとは…幸せです!w (2019年8月19日 9時) (レス) id: 097e58c5bd (このIDを非表示/違反報告)
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