愛のすべて (ページ16)

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１６．ページ16

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side A

喜多川高校に赴任してから

もうすぐ２ヶ月が経つ

やっと少しずつ、生徒の名前も覚えてきて…

って言っても、苗字で精一杯だけど

毎日が新しくてすごく楽しい！

紫耀「…先生？何その荷物」

備品を持って廊下を歩いていると

後ろから声を掛けられる

『あ……平野くん』

紫耀「お、やっと覚えてくれた」

ニコニコしながら近付いてくる平野くん

酔っ払った姿を見られる、という

醜態を晒してしまった生徒

『ふふっもちろん！』

紫耀「で、その大荷物は何ですか？」

『あ、これ…岸先生に頼まれて』

紫耀「うわぁ〜…女性にも容赦ないな、あの人」

『先輩、女も男も関係ないからねぇ』

紫耀「 “先輩” …？」

『あっ…岸先生ね、大学の先輩なんだ』

紫耀「ふぅん」

と言いながら平野くんは

私が抱えてた段ボールをひょいっと持つ

『え！？いいよいいよ！』

紫耀「だって後ろから見てフラフラで危なっかしかったもん。いいよ」

『えぇ…』

紫耀「どこに運ぶの？」