【em】選択 ページ11
我々が負けたと聞いた途端に、体は軍大学を飛び出し、基地へと走っていた。
戦闘が終わり、生きている者がいなくなった道中には、三国の軍服を着た亡骸が転がっていた。中には、教え子の姿もある。
基地に近づくにつれ、その数は増えていった。
それにしても、幹部の姿が見当たらない。生き残って、基地に集合しているのだろう、と息をついた時だった。
覚えのある金色の短髪が見えた。
「コネシマさん___っ!」
爆発に巻き込まれたように服は黒く焦げ、背中には無数の切り傷を負っていた。
うつ伏せで倒れている様子は、まるで誰かを庇っているようだ。
「エミ、さん……」
微かに自分を呼ぶ声は、コネシマさんの下から聞こえる。
「ショッピさん!」
「はよ、基地に行ってください…」
「そんなこと言うて…あんたも行くんや!」
ショッピさんは、苦笑いをしてチラリと足の方に目を向ける。
「左足、潰れてるんで無理っす」
その諦めたような表情が、妙に癪に障った。
「お前、もう生きるのを諦めるとか言うつもりやったら許さへんで」
思った以上に低い声が出た。
ショッピさんは、少し驚いた顔をしたが、すぐにふっ、と笑った。
「生きますよ、コネシマさんの分まで」
「うん、ええ心意気やね」
「………エミさんのくせに」
ショッピさんのつぶやきは聞こえなかったことにした。
コネシマさんの体を建物の中に寝かせ、ショッピさんの足にのしかかっている瓦礫に手をかける。
なんとか退かせられたのは良いものの、ショッピさんの左足はもう使い物にならないかもしれない。
「片足で立てるか?」
「……無理っすね」
上半身を起こすのでやっとらしい。
ショッピさんは、ひとつ息を吐いて言った。
「僕はコネシマさん見とくんで。エミさんは基地行ってくださいよ」
「それは危険や!放っておけん」
「大丈夫っすよ。僕、今のエミさんよりもよっぽど武器も装備も戦闘力もあるんで」
いつもどおりの軽い口調ながら、その目はしっかりとこちらを見据えていた。
その目は、信用に値する。
「……生きてくださいね」
「当たり前っすよ」
早く行けと言わんばかりにヒラヒラと手を振るショッピさんとコネシマさんに背を向け、また走り出した。
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麻季(プロフ) - 黒猫さん» レスのミスでさらに遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!そこまで言ってくださるとは感激ですｗ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
麻季(プロフ) - 支配人Bさん» レスが遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!構成は割とこだわったので、めっちゃ嬉しいですｗ (2019年4月1日 3時) (レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - むっちゃ面白かったです!今まで見てきた中でも特に面白かったです! (2019年2月2日 15時) (レス) id: 1a0123f488 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - 話の構成めちゃくちゃ好きです (2019年2月2日 11時) (レス) id: a003c0392f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麻季 | 作成日時：2018年9月29日 2時
