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マサイから返事が来たのはそれから少し経ってからだった。ごめん の三文字がやけに弱々しく感じて携帯を持つ手に力が入る。
話がしたい と続いた文に 家に居る？ と返す。
すぐに返事が来て、マサイの家へと向かった。
インターホンを鳴らすと控えめにドアが開いて気まずそうな表情のマサイが顔を出す。
「A…。…上がって」
「ん、おじゃまします」
いつもとは違う雰囲気のマサイに、家の中の空気も冷たく感じてそわそわと落ち着かない。
「なんか、飲む？」
「え、あー、今は大丈夫 ありがとう」
「ん」
短く返事をしたマサイ。ソファーに座ると、隣の部屋からマグカップを持って私とは離れた所へ座った。
いつもなら、隣に座ってくれるのに。感じることのない体温に寂しくなった。
「マサイ、昨日はごめん」
「…俺もごめん 酷い言い方したって思ってる」
「何も無かったとはいえ、マサイが言うのも仕方ないと思う。だから、大丈夫 私もあんな言い方してごめん」
「A…」
静かな部屋に時計の針の音と外から聞こえる子供の声がやけに大きく聞こえる。
「シルクだけじゃなくて他の奴らにも取られるんじゃないかと思って、俺、勝手に嫉妬して…かっこわる、って…」
「マサイ……」
「やっと俺の場所になったのにって、」
悲しそうにマグカップを見つめるマサイ。
テーブルに身を乗り出して、そんなマサイを見つめると顔を上げて「ごめん、」とまた呟くからこっちまで悲しくなってしまう。
「変わらないよ。確かに疑われる事も、マサイが私のこと信じられなくなることもしてきた…でもマサイはそれ受け入れてくれて隣に居てくれたじゃん……そんな人、簡単に失いたくない…我儘だけど…」
「…我儘言って、もっと」
マサイの細い指が私の頬を撫でる。
「俺、Aの側に居たい」
震える声に胸が締め付けられて、マサイに抱きついた。
「ごめんね マサイ」
「謝んないで…俺の、我儘だから」
「そんなの我儘じゃないよ…」
ぎゅう、と私を抱き返す腕に力がこもる。縋り付くようなその力に、マサイの体温に、安心して胸板に頬を寄せた。
依存だと嘲笑われても、守られてばかりのお姫様だと言われても、メンバー以外が言う言葉なんて今はどうでもいい。
シルクに対しての気持ちとは違う 恋とも友情とも言えない不思議な気持ち。
それをなんと呼ぶかはわからないけど、マサイが居てくれれば それでいい。
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作者名：yuyu | 作成日時：2018年5月20日 3時
