45 (12) Masaiside ページ22
─Masai side
誘われて行った川遊び。Aとしっかり話をしたのはその日が初めてだった。
女友達といたり、シルクやぺけと居るところは見たことがある。
同学年にしては大人びている、そう思っていたから男しかいない川遊びに来るなんて、と少し驚いた。
「流石に泳がねーよな」
「…そう見える？」
「んー、まあ」
岸でにこにこしながらそれを見ていたAに声をかけると彼女は立ち上がって「諒ー！」とシルクを呼んだ。
「お前はだめ！」
「なんで！」
「俺がお前の母さんと父さんに怒られんだろ！」
「怒られちゃえ！」
そう言って靴を脱ぎ捨てて川に向かうAをシルクが慌てて抱き留める。
ぎゃあぎゃあ言い合う二人に仲が良いんだなあ、と思ったのと同時に Aって意外な一面があるのかもしれないと興味を持った。
自然と集まる時間が増えて、いつも見ていたAとは違うAを知って惹かれて行った。
好きだ、と勇気を出して告白した日のことも鮮明に覚えている。
約束したって人というのはわからない。気まずくなってしまう…そう不安になっていた日、彼女は変わらず後ろから俺の背中を叩いて「マサイ、おはよ！」と笑っていた。
それでもシルクには敵わなかった。
ある日、集まる時やけに嬉しそうなAに話しかけた。
「嬉しそうじゃん」
「ん、シルク彼女できたから学校で話せないんだよね」
「なんで？」
「彼女にヤキモチ妬かれるの。幼馴染だから。」
「何二人で話してんの？」
「なんでもないよー」「なんでもねーよ」
Aに後ろから抱き着いたシルクと、楽しそうなA。幼馴染だから、ヤキモチを妬くのは俺だって一緒だと思った。
好きで、好きで、仕方なかった。
「シルクって、Aのこと どう思ってる？」
「…なんだよ、急に」
「ただの幼馴染？それとも」
「好きだよ 俺あいつのこと」
いつだったか、二人になって思いきって聞いた。牽制するかのように答えたシルク。その言葉は すとん、と胸にしっかり収まってしまう。やっぱりこいつには敵わねえな、と笑った。
その気持ちを忘れられなかったからこそ、シルクと一緒に住むことをすすめた。
どんなに俺との距離が近づこうと、Aの中にはシルクがいる。
シルクとAの関係を聞いて悔しくなったけれど納得した。そういう運命なのかもしれない、と。
だったら俺はあいつとは違う形でAを守るから。
そばに居られるなら、俺はもう何も望まない。
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作者名：yuyu | 作成日時：2018年5月20日 3時
