【雪男】雪降る夜の嘘月Ⅱ (ページ14)

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　：ヒナーー！！

どうしよう、ヒナともはぐれちゃった…
真っ暗でほとんど何も見えないし
助けを求める気力ももう残ってない
震える足を抱えて
ただ縋るようにして星を見ていた時だった

ｻﾞｻﾞｯ

　(え、なに！？)

確かに後ろから聞こえたその音は
自然の音じゃない
振り返ったら私、死んじゃうかもしれない

ｶﾞｻｶﾞｻ

その音はどんどん大きくなって
すぐそこまで来てるのが分かる
思わず声が出てしまいそうになって
両手で口を押さえた

　-A！？

　：め、ぐろさん…？

　-いた、よかった、

　：あ、あ！！ラウちゃんとヒナが！

　-ラウールは小屋にいる、
　ヒナもみんな探してるからきっと大丈夫

　：よかった…

　-行こっか、立てる？

差し出された手を掴んで
グッと足に力を入れてみるけど
全くと言っていいほど体がいうことを聞かない

　：あれ、おかしいな、、、
　すみません、すぐ、

　-乗って？

　：え、でも

　-いいから、

しゃがんで私に背を向けると
優しく手を引っ張って自分の首に腕を回させる

　：重くてすみません、

　-ううん、全然軽い。

目黒さんにだけ素直になれるのは
きっとこんなふうに弱さを見せても
いつだって手を差し伸べてくれるから
大丈夫だよって、笑ってくれるから

　-ねぇ、この前言いかけたこと
　今言ってもいい？

　：へ？

　-俺、Aが好きだよ

　：っ、、！

　-大事なことだから直接言いたくて、
　今日、やっと会えるから言うって決めてた

　：‥。

　-俺の彼女になってください。

抱き締められたあの日から
いや、もしかしたらもっと前から
気づけば目で追って
どこを行くにもその背中を探して
もう、自分でもこの気持ちの正体に気づいてる

でも、
きっとみんなみたいに器用にできないし
また失敗して傷つきたくない
そのはずなのに、

　：、私も好きです。

　-え、ほんと？

　：彼女に、なりたいです。

言ってしまった…
自分が自分じゃないみたいに
勝手に口が動いて

　-大切にする。絶対幸せにする。

　：、、

　-うわぁ、、マジで嬉しい、、

心臓がおかしい
体も燃えるように熱くて
呼吸もしづらい

そんなプロポーズのような言葉を
言われるなんて思ってもみなかった
漫画から出てきた王子様みたい…これは夢？
でも、背中から感じる熱と
速さを増す心拍数は確かに本物
それを嚙み締めたくて背中に顔をうずめてみる

　-今度は絶対、守るから