no1 【岩田剛典】 (ページ2)

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昨夜の記憶　① ページ2

え？

後ろを振り返ると、ニッコリ微笑んでいる岩田さんが立っていた。

口角は上がっているけど、その目は笑っていない。

「昨夜はどぉも。」

昨夜？私には何のことか…。

何を言っているのか全く分からない私は聞き返した。

「昨夜、会いましたっけ、、、？？」

すると、しばし無言の岩田さん。

「ほぉ、、。肝が据わっているとはこういう事を言うんだね、秋澤風美さん。」

そう言われても、本当に身に覚えがない。フル回転で昨夜の記憶を思い起こす。が、

あぁ、無理、、、。

岩田さんの事なんか何も思い出せない。

「えっ、、、と、昨夜は私何処でお会いしたんでしょう、、、」

合コンからのクラブ。岩田さんに会った覚えなんかまったくない。

「ひ、人違いじゃ、、、？」

言いながら、腕組みして私を見下ろしてる岩田さんの顔を見上げる。

な、なんかめっちゃ怒ってます、、、？？

威圧感に冷汗まで、、、

そのままの態勢で、しばらく私の顔を冷ややかな表情で見ていたと思ったら

「秋澤風美、よく考えて思い出したら僕の所に来るように。以上」

「あ、あとこれ100部ずつコピーして綴っといて」

真顔の岩田さんに資料で頭を小突かれた。

そして、一方的に用事を言いつけると岩田さんは行ってしまった。

何、、、？人違いじゃないの？？

社内一のイケメンは感じ悪い！！！

私、秋澤風美は4月入社の新人。

憧れの化粧品メーカーに入社したけど、まだまだ学生気分が抜けていないのが本音。

だって、化粧品会社ってもっと華やかで色んなサンプル使えて、芸能人に会う機会も多い夢の様な仕事だと思ってたのに、さすがに甘すぎだった。

ウィーン、、、ガシャン、ガシャン、

言いつけられた資料をコピーしながら

広報とか秘書課が良かったな、、、。

資料を束ねてホッチキス留めをしながらそんな事を考えてたら

「いないと思ったら、こんな所何してんだよ」

声の方に目をやると、コピー機にもたれ掛かった亜嵐先輩がいた。

「王子の仮面を被った悪魔に捕まりましてね。」

「岩田さんだな」

笑いながら亜嵐先輩が言った。

「はい。」

仏頂面で返事をしたら

「手伝おうか？何部？」

その言葉に一瞬で表情が輝いた私は、

「本当？！100…」

でも、言いかけたところで

「あー！いや、やっぱ用事思い出したわー。やばいやばい、あと頑張れよ！じゃっ」

そう言い残すと、亜嵐先輩は素知らぬ顔で言ってしまった。

「薄情者、、、。」