スポットライトを君に【派生作品】

続き ページ6

と言ってもこの体調の悪さは、Ωという性別のせいであって。ヒート前のこのなんとも言えない気持ち悪さは、抑制剤を飲んでいても完全には消すことはできないのだ。
きっと部長はそれを察してくれたのだろう、今回は筋トレを休ませてくれたが、こうも理解が早い人間というのは早々いない。今の2年生にだって、自分の性に関して深くは話せていないのだから、1年生なら尚更だ。しかも今年は7人と例年より人数が多い。これから演劇の指導としてコミュニケーションを取らなければならないと思うと気が重くなる。

「純、大丈夫か？」

その耳馴染みのいい声に顔を上げると、腹筋背筋で少し汗をかいた賢人がこちらに近づいてきていた。休憩時間になったのだろうか、そのまま隣に座る。自然と距離が縮まって、俺たちの話す声も互いに聞こえる範囲の音量になっていった。

「うん、大丈夫」
「無理すんなよ」
「うん」
「水飲むか？」
「いらない」
「あっそ」

今のところ、部長と賢人、橋本の3年生部員全員は理解を示してくれている。現に、俺の隣には賢人がいる。いらないと言ったのにスポーツドリンクを無理やり飲ませようとするくらいお節介な友達がいるのだから、今のところは大丈夫だ。

＊＊＊

全角は2文字扱いだということにやっと気づきました。

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