今日からアイドルのお世話をします！【雪】

ちょっと酔っただけ （リク） ページ27

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今日は満月が綺麗な夜だった。



空を眺めつつ庭に足を投げ出していたら、「何してんの？」と、頭にコツンと何かが当たる。




「あ、康二くん。おつかれさま」

「おつかれさん！ Aさんがこないなとこ座ってるん珍しぃない？」

「月が綺麗でね」




康二くんは午後１０時頃帰宅して、そのままお風呂に入って今出てきたところらしい。


濡れた髪をタオルで拭きながら、手に持っていた缶チューハイをグビッと飲み込んだ。





「ほんまやなあ、今日は満月やん。ふぃー、今日も仕事したあ」

「毎日頑張ってるね」

「そやろー。ほんま有難いことやで」





ファンの人にも、神様にも感謝やなって月に向かって拝む。

やることがほんとに愉快な人だ。



康二くんだけ最初から気を抜いて話せるところがあって、いちおう私も此処で彼らと接するのは仕事だと思っているから敬語を使うようにしてるんだけど、





「うわっ、バッタおった！！」

「うえ！？どこどこ？ 家に入ってない？」



康二くんだけはあまり気を使わずにいられる。

多分それは彼の雰囲気がそうさせているのかなって。


関西弁でズバズバものを言うくせして、意外と繊細で優しい康二くん。




「今のデカかったわ。さっくんが見たら大興奮間違いなしやね！」

「佐久間くんは虫が好きなの？」

「この前なー、キャンプロケ行ったのよ。そん時に虫取り対決してんけど、佐久間くんとめめくらいちゃうか本気で虫取りを楽しんでたんわ」

「へえ、楽しそう」

「楽しかったで！ Aさんは、インドア派アウトドア派？」

「んー、どっちかといえばインドアかな」

「そうかそうか」




外に出るのは好きだし遊ぶのも嫌いではないけど、佐久間くんや康二くんのようにテンション爆上げとはいかない。


ごくごくと良い音が鳴る。




「康二くんがお酒呑んでる初めてみたかも」

「なんや急に呑みたくなって帰りに買ってきたんよ。あ、Aさんも呑む？」

「えー、と、」



喉を鳴らして、プハッなんて漏れる声のオマケ付き。

ここに来るまでは毎日のようの呑んでいたけど、そう言えば最近は呑まなくなった。



それはきっと彼らのおかげで毎日楽しく過ごせているからだろう。



だけど久しぶりに呑みたい気分かも。




「せやから俺も頑張ってんのよ」

「うんうん、そうか。頑張ってるね」



康二くんはいつの間にか二缶も空けてしまい、話が盛り上がって更に一缶追加してるとこ。




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