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『…そう、なのかな。』
「そうやと思うで。それにあんた、昨日寝れへんかったんやろ?」
『うん、』
「その理由はほんまに、傷つけた罪悪感だけやったん?」
問われて、考える。
ああ、そう言われてみれば、確かに。
違うといっても、信じてもらえなさそうなのが悲しかったな。
それは私が悪いし、誤解されるようなことをしたのも私だけど。
全く違うことを、真実だと疑わない様子で言われて、嫌だったんだ。
『(違う、私は──…私は、治君が好きなのに。)』
そう、思って。
『そっか、私…いつの間にか好きだったんだ。』
「……おん、」
『失恋したばっかりなのに、軽いやつだなあ…』
「…それは、ちゃうと思う。」
自己嫌悪で俯くと、頬に触れた手に顔を上げさせられる。
驚いて目を見開けば、小春は真っ直ぐに私を見つめて言った。
「うちは、あんたがずっと辛そうに片想いしとったん、知ってる。」
そやから、治君がAに告ったって聞いて、嬉しかってん。
そのおかげで失恋のショックもましになって、…治君のこと、好きになれて。
良かったやん。
「勿論、あんたは治君に謝らなあかんけど、」
前のAの、苦しそうな顔のこと思い出すと、うちは今のAの方が、よっぽど感情豊かに見えて。
悩むのは大変やろうけど、なんか嬉しいわ。
『小春…』
彼女がそんなことを思っていたなんて知らなくて、驚く。
と同時に、何だか泣きそうになってしまって、ありがとう、とお礼を言う。
小春は、そんな私の頭を撫でて、
「おん。頑張り。」
と微笑んだ。
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宮兄弟推し - 推し=恋愛対象の人間です。宮兄弟ガチ恋勢(わい)には、たまらん作品です。ありがとうございました! (5月18日 20時) (レス) @page28 id: e2e9177bef (このIDを非表示/違反報告)
風矢@二次元待ち(プロフ) - とても幸せな小説でした。おつかれさまです! (2023年2月21日 15時) (レス) @page28 id: 8fd965734e (このIDを非表示/違反報告)
にゃん吉(プロフ) - 胸がギュンってなりました🤦♀これからも応援してます!更新頑張ってください🙇🏻 (2022年11月23日 3時) (レス) @page21 id: 4862dc7ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時:2022年11月19日 18時