第四話 ページ8
少し、痛いくらいだ。
ぎゅうう、と後ろから抱き締められて、早数分。
部員の方々はこちらを見ないようにしてくれているけど、流石に申し訳ないからそろそろ帰りたい。
…と、考える理性とは別に、
『(こんな風に抱き締められたの、いつぶりだろう)』
なんて、ドキドキと高鳴る心臓は落ち着く気配がない。
いずれにせよ、身動ぎひとつ取れなくて、困っていた。
肩に埋められる頭。
首をくすぐる、さらさらの髪。
時折呟かれる「A…」という、甘い声。
『侑？ …部活の邪魔したくないから、そろそろ帰るね。』
もう少し、このままでいたい。
そんな我儘を振り払うためにそう言うと、渋々と解放された。
「…なあ、角名のことどう思てんねん」
『え、なんで？』
「ええから」
『どうって、クラスメイトだけど。』
問われる、言葉。
その態度が、表情が、嫉妬を表しているから、期待したくなる。
侑がまだ、私のことをちゃんと好きだと思ってくれていると。
揺らぐ心。
でも、
辞めたらまたすぐに女の子たちにデレデレするんじゃないの。
私を都合いいように扱って、結局は私が辛くなるんじゃないの。
そんな疑心が、消えてくれない。
「ほーん。俺、部活戻るわ。気ぃつけて帰れや」
『うん』
去っていく背を見送って、俯く。
久し振りに抱き締められたからか、離れていった温もりが、いやに寂しく思えた。
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サラミ - 初コメ失礼します。もう設定から面白くて、どんどん読んでしまいました!!更新楽しみにしています。主様のペースで無理しないように頑張ってください!!!上から目線ですみません。 (2022年11月7日 21時) (
レス) @page18 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音琥
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時：2022年11月2日 18時
