【呪術廻戦】雨を乞う。【男主】 (ページ10)

今日:14 hit、昨日:8 hit、合計:67,269 hit

＊＊ページ10

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿

そうして夏油とは色々な話をした。

術式の話、趣味、好きな本から嫌いな駄菓子まで。

一時間ほど、そうやって会話した後高専の門をくぐる。
どちらも制服を着ているのだから、このまま登校すればいいという話になったのだ。

「少し寄り道してもいいかな。」

そう言った夏油に頷いて後をついていくと、着いた先は自販機だった。
当然のように小銭を入れ、何を買うかと前に立つ夏油。

それで金を持ってきたのか、と納得していれば、何が飲みたい？と聞かれる。

『あー…珈琲の気分。って、え？』

何気に問われたため普通に答えてしまったが、よく考えれば今夏油は何かを買おうとしていた…よな。
まさか、と言った後に気付いて驚く。

が、時すでに遅し。
彼は缶コーヒーを購入して、こちらに投げ渡した。

キャッチして、戸惑いながら聞き返す。

『いいのか？』

新たな小銭を自販機に入れた夏油は、こちらに背を向けたまま答えた。

次は奢ってくれ、と笑みを含んだ声で。

成程、それならこちらも変に遠慮する必要もない。

『わかった。』

頷けば、同じ缶コーヒーを握った夏油が振り向いた。
こちら側に突き出されたその缶コーヒーを見て意図を察し、乾杯、と言いながら持っていたそれを軽くぶつける。

別に何かがあるわけじゃないが、こんな乾杯もいいだろう。

指を引っ掛けて缶を開けながら視線を向ければ、どこか楽しそうにする夏油がそこにいて、自然と笑みが溢れた。