寮内 ページ8
たった今喧嘩を売った相手がそんなことを考えているなんてことは露知らず、Aは担任に案内され寮を訪れていた。
『中は思ったより広いんですね。』
説明したことを素直に飲み込み、頷きながら礼儀正しく話す彼の姿に夜蛾は感動していた。
そんな思考すらも知り得ぬ彼は吞気に室内を物色している。
ここが今日から俺の部屋か、と少し口角を上げて、荷解きを始めながら。
「とりあえずここは好きに使ってくれて構わない。」
隣は傑だ、と伝えて先生はどこかへ行ってしまった。
なんだかんだ忙しいのだろう。
はい、と去っていく背に返事をして、段ボールやバッグの中身を部屋に配置し始める。
持ってきたものは多い訳ではないが、特殊なのだ。
術式、【
そのため、雨乞いの舞を踊る為の
そして、持っていけと家に持たされた鏡。
しまう場所に迷うものばかりで困るったらありゃしない。
一度手を止めて、先生が残した言葉を反芻した。
──隣は傑だ。
傑、傑…と少し考えて夏油か。と理解し、良識ある人が隣の部屋で良かったとぼんやり思う。
同時に、五条悟じゃなくて良かったとも思った。
実際に対面したのはこれが初めてだとはいえ、流石に女だと思っていたなんて言われるとは思ってなかった。
面白半分、冗談半分の婚約であることは重々承知していたし、そもそも男同士なんだから。
だから、せめて良い友人関係が築ければと、思っていたのにだ。
『…熱くなり過ぎたな。』
喧嘩を売るほどのことでもなかったと、冷静になった頭が言う。
静かに溜息を吐き、これからどうしようかと再び悩み始めた。
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moo(プロフ) - 甘々の溺愛最高です! (2023年4月19日 8時) (レス) @page49 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時:2022年3月12日 4時