【呪術廻戦】雨を乞う。【男主】 (ページ15)

今日:17 hit、昨日:8 hit、合計:67,272 hit

経過ページ15

それから、一週間が経った。

それくらい過ぎれば、少しは生活にも慣れてくるというもので、何不自由なく過ごしている。
とは言え、俺も特級呪術師だから暇があるかといえば微妙だが。

高専に通いつつ、呼び出されては呪霊を祓う。

必然と一人の時間が増えて、初日二日目のように同級生らとふざける時間は減っていた。

『五条？』

任務終わりに高専に戻ってくれば、偶然にも五条と遭遇した。
彼も今日の任務は終わらせたらしく、机に突っ伏して寝息をたてている。

人の気配に敏感である呪術師は、こうして寝る間に近づくと起きてしまうことが多いから、下手に入室するのはためらわれる。
教室の扉のところに立ち尽くして、そっと名前だけ呼んでみた。

「……… A、」

すると、目を擦りながら身を起こす五条。
寝ぼけているのか、普段は白拍子呼びなのに下の名で呼ばれて、小さく笑う。

『疲れてるのか？』

結局起こしてしまったなと思いつつ、歩み寄って顔を覗き込む。
眠そうにとろけた青い瞳がぼんやりと俺を見て、夢？なんて呟いた。

いつも、素行が悪いヤンキーみたいな感じの癖に、こういう時に見せる幼げな可愛い姿はギャップである。
自然と笑みが零れて、夢じゃないぞ。と頭を乱雑に撫でた。

「…オイ、髪型崩れる………。」

まだ眠いのか、覇気がない声で制される。
嫌なら無下限術式で弾けばいいじゃないか、なんて冗談めかして言えば、それには

「友人すら触れられなくなんのは違うだろ」

と返された。
大分頭も覚醒してきたらしい。
体制を整えた五条は、任務終わり？と問うてくる。

『ああ。』

簡潔に返事して頷いて、ふぁ、と欠伸をしている五条を横目に重ねて呟いた。

『なんなら婚約者だしな。』

ゴンッ‼
すぐ近くで鈍い音が鳴って、驚く。
机に頭を打ち付けた五条は、恨めし気に俺を睨んでいて。

あ、と既視感を覚えて、先週のことを思い出した。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿

あの時、自販機の横で五条を壁ドンしていた時は、衝動に駆られていた。
からかいたい衝動に。

「…っ、」

『五条。…悟、お前、そんな顔もできたんだな。』

あの”五条悟”が、こんなにも動揺して、俺の腕の中で真っ赤になっている。
そんな状況にどうにも心がそわそわと疼いて、かわいい、と本音を言ってしまった。

怒られるかと思えば、そんな言葉にすら照れて頬に赤が滲む。