【呪術廻戦】雨を乞う。【男主】 (ページ12)

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事情ページ12

そういうなり、すごい速度で教室を出ていった五条を呆然と見送る。

…なんだったんだ。
途方に暮れていると、爆笑していた夏油と家入がようやく笑いをおさめ話してくれる。

五条が、昨日俺が教室を出ていったすぐ後に思い出したこと。
見かけただけなのに、そんなことを思ってくれていたのかと思う反面、困惑して聞く。

『それで、今、あの時は好きだった、って言ってどっか行ったのかアイツ？』

忘れていたことを謝るでも、間違えたことを謝るでもなく。

すると二人はまた笑いながら、思うことを素直に言葉にするのが上手くないんだと言った。
いや、にしたって流石に不器用すぎるだろう。

困惑もやがて呆れに変わり、そうして気が抜ける。
思わず小さく笑って、席から立ち上がった。

『俺、追いかけてくるよ。』

このままにして避けられても困る、と言い残し教室を出る。

どこ行ったんだ、と慣れない校舎を見渡して、なんとなく足が向く方へ小走りし。
途中で通りすがった夜蛾先生に尋ねる。

『五条、どこ行ったかわかります？』

「悟なら今さっき自販機がある方に向かったが。」

ありがとうございます、と礼を言って速度を上げる。
きっと先生は朝礼のために教室へ向かっていた。聞かれたからなんとなく答えてしまっただけで、気付けばすぐに引き留められるだろう。

それを見越して走って角を曲がれば、案の定後ろから俺の名前を呼ぶ先生の声が聞こえてきて笑ってしまったのは、秘密である。