【呪術廻戦】雨を乞う。⑦【男主】 (ページ29)

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『頼さんが、見つかった。』

彼が身体的に回復するまで秘匿し、同時に解呪も行いたい。
できるか？

「A様のお望み通りに。」

こちらで手筈は整えておきます。

そんな言葉を最後に、通話が切られる。
人一人を匿う、それも使用人たちの誰にも気づかれないように。

中々な無理難題を言ったというのに、彼は迷うことなく言い切った。

『…このまま、頼さんを高専内に留まらせるのは危険だ。』

端末をポケットにしまいなおして、三人に向き直る。
速やかに源家に移動させ、隠す。
道中の運転は凪に任せて、その先で待機する柚に案内されることになるだろうな。

「ここに戻ってくる時、運転してた補助監督の人は？」

悟が俺を見た。

その人は、頼さんがいなくなってから、しばしばお世話になった方だ。
降りるときはそんな余裕もなかったけど、メールはしておいた。

『それに、万が一裏切られたとして。』

その場合、彼に情をかける必要はない。
源家で匿う以上、身柄は見つからないから、痕跡を消し”妄言を言っているだけだ”と主張する。

これで、大体の予定はたてられた。
先ずは可及的速やかに頼さんを源家に移動させる。
凪は条件を理解した瞬間に即座に電話を切ったから、今頃急いで高専に向ってくれていることだろう。

訝しまれないように、何かしらの理由をつけて。

「この忙しい時期に、今以上に働いて大丈夫か？」

傑が言った。

確かに、今は連日任務ばかりでバタついているが。
そんなことは言っていられない、緊急事態なんだから。

『どうにでもするさ。』

任務は与えられた分はきっちりこなす。
それでもって、頼さんの身の安全を確保する。

それができなければ、解呪やら回復やら、それから先の何もかもが手につかないのだ。

どうにでもする。
それ以上、何もなかった。