【呪術廻戦】雨を乞う。⑦【男主】 (ページ12)

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卒業ページ12

一瞬一瞬を大事に思っていても、あっという間に翌日がくる。

いよいよ最後だ、なんて思っている間に、卒業証書を受け取って。
任務が絶えない中、代わる代わるにお祝いに来てくれる面子に見送られて、俺達は卒業した。

次期学長だという夜蛾先生にも、サプライズで花束を渡せたから、それは満足だけど。

『…実感、ないんだよな。』

手に持った、端と端を掴んだせいで丸くなっている証書を見つめ呟く。
他の三人は、しっかり四年間、ここで過ごした。

でも俺だけは、三年半の間、失踪したり海外に行ったりしてたから。

まあいずれにしても自業自得なので、そこは仕方がないのだが。

「まだ言ってんの？」

横で悟が言った。
帰ってきてからも、帰ってくる前の通話でもずっと言っていたからだろう。

静かに苦笑して頷けば、彼はぎゅうと俺に抱き着いてきて笑いながら言葉を続ける。

「卒業って言っても、形式上だし。」

活動拠点は高専、今までと何も変わらない。
青春がしたいなら、延長線でこれからすればいいじゃん、と。

まあ、それはそうなんだけど。

その身体を、温もりを、包み込むように抱きしめ返しながら思考する。

「おーい、A、…悟もここにいたのか。」

すると、同じように卒業証書を手にした傑がやってきて、桜を見に行かないかと言った。
成程、もうそんな季節かと思いつつ同意し歩き出す。

花見なんて、というか桜自体、海外にはないものだから懐かしさを覚えてそわそわと心が浮足立った。