【呪術廻戦】雨を乞う。⑦【男主】 (ページ11)

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間近ページ11

再会。

その後、色々あったことを互いに話していれば、時間が溶けてしまっていて。
あっという間に夕方になり、茜色の空が透明な窓を透かして教室内をも染めていく。

こうして、生徒として高専に居るのも、これで最後か。
なんて、思ったりもする。

本当に、卒業ギリッギリに帰ってきたのだ。
明後日にはもう”生徒”ではないという事実が、実感のなさ故に、ぼんやりと思えてしまうのである。

「Aは最初から最後まで、突拍子がなかったよな。」

不意に硝子が言った。
俺を含めて三人が同時に彼女を見て、そうか？と首を傾げれば、全員に同意される。

ええ、とそれに困惑していれば、次々と出てくる愚痴、愚痴、愚痴。
そりゃ確かに、彼らには多大な迷惑をかけたけれども。

『悪かったって。』

苦笑で受け流すにしても多い愚痴に、降参だと謝ると、今度は優しい目が向けられて。

そんなAだから、好きなんだよと笑われた。

ほとんど傍に居られなかったが、この高校生活で紡いだ絆は本物だ。
何が起ころうと、この友愛が、恋情が、なくなることはないと確信できる。

『それを言うなら、悟は最初のころとは大分変わったよな。』

なんて、話を続けながら、誰一人として欠けることなく四人で卒業できることを嬉しく思う。

悟についての話をしようとしたのに、何故か

「Aのせいだな。」

「Aのせいだろう？」

「Aのせいだね。」

と一斉に言葉を返された、そんな会話の些細な出来事も、今は幸せでしかない。

まあ、若干解せないところはあるとはいえ。
とはいえ、悟が俺のせいで変わったというのなら、それはそれで嬉しいからいいかと考えることにした。